この先、露骨な表現を含む可能性のある作品が表示されます。

ご了承のうえ進みますか?

この操作について

みんなのレビューと感想「ヘルタースケルター」(ネタバレ非表示)

  • お役立ち順
  • 全ての内容
  • ★5だけ見る
並び順
ネタバレ
その他条件
評価
検索条件変更変更しないで閉じる
  1. 評価:5.000 5.0

    埋められない喪失

    漫画を読んでいて、「よくこんなものを表現できるな」と衝撃を受けることがある。
    それは、人間の感情だったり、本質だったり、生き様みたいなものだったり、その美しさや醜さや強さだったり、まあ、言葉で表せないものも多いのだけれど、私がこの漫画から感じたものにもし言葉を与えるなら、それは、人間の、業、ということになると思う。
    善とか悪とか、そういうものを飛び越えて、それを背負って生き抜いてゆくしかない、という種類の、業、である。

    現代を舞台にした漫画を読んだはずなのに、私は、例えば仏教の説話とか、クラシックな寓話を読んだような気持ちになった。
    この漫画には、「特異な」人々も出てくるけれど、特殊の中に紛れもない普遍がある、という作品だと感じた。
    そのような作品こそが、やがてクラシックになってゆく。

    読み終えた後で、作者の岡崎京子が、不慮の事故によって、漫画を描けなくなったことを知った。
    これほどの才能が、どうして奪われなければならなかったのか、私はそこに何の救いも必然性も見出だせなかったし、ただただ、その事実を悲しむことしか出来なかった。
    漫画の世界がこの作者を失ってしまったのだという決定的な喪失感は、程度の差こそあれ、多くの読者にとって、完全には埋まらない種類の空白なのではないか、とすら感じた。
    それほどに強烈な作品であり、非凡な才能だった。

    しばらく前に好きになったバンドの曲に、こんな歌詞があった。

    「繕いもせずに
     産声をあげる赤ん坊のように
     成りたくて 成りたくて
     初めて手にした
     岡崎京子のPinkを理由にするには
     十分過ぎた」

    そんなふうにして、本物は語り継がれ、生き残ってゆく。
    しかし、それをもって何かの救いにするには、私という人間は、未熟に過ぎた。

    by roka
    • 7
  2. 評価:5.000 5.0

    苦しく重いきらびやかな闇

    絵柄がどうこうとかいう問題ではない
    好みの画風と正反対
    なのに…

    苦しく悲しく重い
    美への憧れを抱く一般大衆のカリス
    マになったりりこ
    でも、りりこ本人は、美への憧れなどという軽いものより、もっと切実な貧困や醜さによる惨めさから逃れたい…誰にも愛されたり注目されることなく無の存在として扱われ続け
    てきた劣等感をぬぐい去りたかっただけなんじゃないか…と思えてくる
    その場にとどまっていることが出来ない心の居場所の無い苦しさ。

    本当の自分が抱いてしまったほのかな恋心、家族への素朴な想いが切ない

    でも、これはハッピーエンドだと私は思った

    りりこの美がニセモノと知っていてもついて来てくれた人生のパートナー達。
    本当に美しいモデルに、ある意味で負けを自覚させた。
    その人たちを傷つけることなく、ただひたすら本能のままに。

    へルタースケルターは、しっちゃかめっちゃかと表現されているけど、ビートルズのその曲を聴いてほしい。
    単なる滅茶苦茶でなく、激情や無我夢中なニュアンスが伝わると思う。

    時々入るナラティブが、電子書籍ならではの効果も出しており、一話も比較的長くて内容も濃い。
    忘れ去られて欲しくない傑作だと思った。

    by 真早
    • 6
  3. 評価:5.000 5.0

    中身はごく普通の女子のリリコ

    ネタバレ レビューを表示する

    ありふれた漫画に飽きた人には凄く勧めたいです。
    リリコはお金と時間をかけて綺麗になり、芸能界の頂点を極めた。
    でも常に心の中では普通の女の子で自分の実力ではないと虚しい感情を呟いてる。
    ほぼ寝れなくてプレッシャーも大きく、多忙な仕事。枕営業、全身整形の副作用に苦しみ崩壊していく姿がなんとも痛ましい作品です。
    でも、これが人間だ!とも思えるし、芸能界のことも何となくリアルに近く描かれてる。

    凄くドキドキハラハラしつつもリリコの人間らしさにホッコリもして感情が常に動かされる作品です。私は好き。

    • 2
  4. 評価:5.000 5.0

    みんなりりこ

    何十年経っても色褪せない名作のひとつだと思います。
    スケールは全然違いますが、私は今以上にデブで自意識過剰の性格の悪い一重瞼のデブスでした。20歳で一念発起し、15キロの減量に成功しました。
    どうしようもないデブスはブタもおだてりゃ木にのぼる状態でどうしようもなかったです。
    多かれ少なかれ人間、りりこの欠片を持って生まれてきて、死ぬまで付き合っていくのではないでしょうか。欠片の形、大きさとつきあい方が違うだけで。
    怖いもの見たさで何度も読んでしまいます。

    • 1
  5. 評価:5.000 5.0

    これぞ岡崎作品

    読み終えたらものすごい疲労感に襲われました。りりこの人生を疑似体験したような… 華やかで誰もが憧れる笑顔の裏に潜むどす黒い転落の恐怖に真っ向から体当たりするりりこ。「最初からわかっていたこと」とはいえ、なりふり構わず自分や他人を傷つけていく姿は壮絶で痛々しいほどなのに目をそらすことができない。これが作者の描きたかった「ひとりぼっちの女の子のおちかた」なのだとすれば、まだ続くであろう「タイガーリリーの奇妙な冒険」をぜひ見届けたいと思わずにはいられない。

    • 0
  6. 評価:5.000 5.0

    読んでよかった!

    映画を見てから読んだので、二度面白かったです。

    しかも皮肉なことに、映画で主演をつとめた沢尻エリカが薬物所持で逮捕されるという、現実の後日談つき。

    映画の方が重苦しい雰囲気に包まれていて、こちらの方が絵柄のライトさもあってサラッと読めるけれど、やっぱり闇の深いお話です。

    続き...きっと無理だろうけれど読んでみたいな。岡崎先生のご健康をお祈りしています。

    • 0
  7. 評価:5.000 5.0

    りりこのぶっ飛び加減が必見です

    ネタバレ レビューを表示する

    何年も前に読んだ作品ですが、映画化したのを機にもう一度読みたいと思っていました。
    りりこは作られた女王様。それが哀れだとも感じます。
    作者の岡崎さんの描く漫画大好きでした。
    もう読めないのかなと思うと寂しいです。

    • 6
  8. 評価:5.000 5.0

    傑作です。

    ネタバレ レビューを表示する

    わたしには 岡崎先生の 魂を 削って 書いた作品に 思います。
    ふりょの事故で 漫画が かけなくなりましたが、きっと また、新しい作品を 描いてくれると 信じています。
    りりこの 悪女ぶりは、格好いいというか
    恐ろしいですが なせか、すきな キャラクターです。

    • 3
  9. 評価:5.000 5.0

    欲望の果てに見えるもの。

    ネタバレ レビューを表示する

    そういうテーマを描かせたら、天下一品の、岡崎先生。
    しかも、それは誰でも身近にある世界で。
    先生の作品は大好きで、一番好きなのが「Pink」ですが。
    この作品は、Pinkにも似てるなぁ、と感じるところがあります。
    岡崎先生の健康回復をお祈りしています。

    • 0
  10. 評価:5.000 5.0

    映画で見たことあるので…

    1巻目が無料だったので、かつて映画でみたこともあり懐かしくなって読んでみました。映画のストーリーはすっかり忘れてしまったので、主人公の高飛車さを改めて感じて面白く読めました。続きも読んでみたくなりましたが、全部購入すると結構な値段になるので迷い中…。

    by PxN
    • 0
全ての内容:★★★★★ 1 - 10件目/全84件

無料の作品

今すぐ読める!無料漫画コーナー