5.0
短編だからこそ描ける、優れた作品かと。
読み切り増刊号「LiQulle pathos」からの1作。
なので、3話まで配信とありますが、一段落ついて終わってます。
作者さんは、ストーリーテラーであり、かつ美しい絵を描く、三月えみ先生。
本作は、アンドロイドが存在する近未来が舞台の、SFものの短編です。
誰かとそっくりに作られたアンドロイド…というと、もうそれ自体に不穏な影が纏わりついているようで。
BLでも、身代わりのアンドロイドが登場する話…というと、山中ヒコ先生の『500年の営み』や、赤河左岸先生の『果ての荒野でバカンスを』を思い出し。
そして、やっぱり痛切な哀しさや、その先の儚い希望が描かれていたなぁ…と。
本作も、ぶっちゃけハピエン厨の読者さんには、オススメできない作品だと思うんですよ。
複製としてのアンドロイドが現実に作られる時代になったら、本当に起こりそうなストーリーで、そのリアルさが辛くて胸が苦しい。
繰り返し書きますが、ハピエン厨の方は、読まない方がいい。
しかし、あらすじ紹介にあったように、これは終わりの話であり、始まりの話でもある…と考えるならば、その“始まり”に希望を見い出したくなりました。
長編では描けない、短編ならではの優れた作品だと思います。
星は5で。
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4