1.0
これは…ちょっと。
(*長文のレビューです。悪しからず。)
昨今、人気漫画のスピンオフ作品が増えたと思います。この漫画も、その風潮に便乗した作品なのかなと思います。
まず、読んでみて最初に思った事は「外道の歌」に出てきた園田の、あの危うい繊細さが描かれていないという事でした。やはり、私は原作者である渡邉ダイスケ先生の緊張感のあるタッチが好きです。作品にのめり込める画風だと思います。
一方、「園田の歌」は園田を描き切れていない=園田が存在していない。この時点で、この作品は成り立っていないと思います。
原作である「外道の歌」で強烈な印象を放った園田には、ファンも多いと思う。「もっと色々な園田を知りたい」と思う人もいるかもしれない。そんな意図もあって、この作品は生まれたのかもしれません。
でも、それってどうなのかなと思います。スピンオフ作品を出して、いたずらに園田ファンを増やすのはどうかと。犯罪者を担ぎ上げるのも、犯罪の敷居を低くする事も良くないと思う。それだと、原作とは真逆、カモさんやトラさんの「仕事」を増やすだけではないかと思います。
ストーリーも、何やら園田版「金田○少年の事件簿」の様な話で「外道の歌」の様な、読後に毎回考えさせる様な、ストーリーに奥行きが感じられません。
カモさんとトラさんは遺族の方々や被害者の方からの依頼を受け、初めてそこで「復讐」を行っていますが、園田や今野がやっている事は復讐ではなく、自らの探求心を満たす為、あるいは、傷付けられた高慢なプライドを回復させる為にやっているに過ぎません。あくまで、園田と今野は「捕食者」であり「被害者」ではありません。
彼らのやっている事は、カモさんやトラさんの様な「慈悲」や「救い」は存在しないと思います。
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