4.0
おもしろうてやがて悲しき
いきなりタイトルのトイプードルが虐待されている場面でもう主人公への嫌悪感がMAXになります。SNSにアップするためにだけ世話する気もないペットを飼う人もいるようですが主人公がまさにそれ。
ここから幼い頃から可愛いと甘やかされて、贅沢にちやほやされて、その頃のお姫さまのような生活レベルを落とせないまま34歳になった主人公が、ネットの中ではキラキラ女子を演じるため浪費を繰り返し借金をして親にそれを返済させていきますが、親が倒れてそれも出来ず転落していく姿が描かれます。
ブランド物で着飾り高いネイルをして10歳下の後輩たちに豪華なランチご馳走したりと表面上はキラキラ。
このあたりは滑稽で笑えてしまうのですが、やがて今まではカード支払いを肩代わりしてくれていた親が倒れ、借金返済の為に好きでもない男と寝てお金貰おうとした姿を可愛がっていた後輩に写真を撮られ社内に拡散されるという虐めに遭い惨めになっていく姿は目を背けたくなります。
主人公がこんな風になってしまったのは、親が幼い頃から甘やかし、成人してからもわざわざ離れを作って貰ったり、主人公のセリフからもカードの請求書が来たら母親が代わりに黙って払っていた事がうかがえます。
でもSNSにはまり虚構の世界の自分を作り上げ転落していったのは自分自身で、虐待していたトイプードルは無事姉一家に救われて可愛がられて幸せに暮らしますが、犬と反対にボロボロになってもなおSNSの世界ではキラキラを演出している最後の場面にはなんとも言えない哀愁を感じました。
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