4.0
悪夢と普遍
明るくほのぼのとしたホームドラマに対するアンチテーゼのような、非常に陰惨な家族の物語。
理不尽な暴力や不幸な転落を見たくない、という読者は触れるな危険、という感じの漫画である。
ただ、この漫画の家族の崩壊っぷりは、あまりに滅茶苦茶だけれど、その作品的な誇張をいったん外して見てみると、描かれていることは、意外と普遍的なことなのではないかとも感じた。
それはつまり、家族が問題を抱えた中で、もがいて、軋轢や衝突を経験して、それを乗り越えたり乗り越えられなかったりしながら、いつか子どもたちが生まれ育った家族から巣立って、別の家族を築いてゆく、ということだ。
その過程で生じるネガティブな側面を、悪夢レベルまで拡大して見せたような作品であって、しかし、根底に流れているのは、「これでもまた家族を作っていくって、すごくない?」という、人間に対する驚きと称賛なのかもしれないな、と思った。
そういう意味では、家族讃歌の作品であるように、私には思えたのだけれど。
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