そうよなー、ここまではっきりした身分の上下がある以上、権力関係でしかない。権力者側の皇太子が自由恋愛を錯覚してるだけでヘレナが逆らえないから従ってるとは夢にも思わなんだろなあの馬鹿は。そして皇太子も皇帝には逆らえない。シンプルで殺伐とした権力勾配ありきの関係でしかないのに権力者側のロマンだ純愛だと都合のいい妄想に付き合わされた挙げ句下の人間が泣かされ恥かかされ謝罪させられる。よくあるパワハラ、セクハラの典型。このまま皇太子とヘレナくっついても不幸にしかならなそう。
権力勾配のある関係といえばエリスとアナキンがまさにそうだけど、こちらは究極の主従関係(私のために死んで)からスタートしてるがエリスは皇太子がヘレナにやるような妄想も抱かないし無自覚の強制もしないから好対照。星空のシーンで相手をひとりの人間として尊重した関係が生まれそうな気配がはやくも感じられたしこの二人が一緒にいる未来は明るそうで、イヤな展開続いたなかで一息つけた。
エリスがヘレナにかけた泣いてもいいのよという台詞も、多くを語らないし近づきすぎもしない節度のなかに労りが感じられて良かった。かつてヘレナが本物エリスの人知れず泣く姿をみて許そうと思ったように、エリスもヘレナの普段は見えない心の痛みに気づいて慮る気持ちが生まれた。この二人はベタベタ仲良くはならなくてもお互いの理解者にはなっていきそう。
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悪女を殺して
029話
第29話