5.0
最高に良かった!
大河、優希、洋平。それぞれが抱える家庭事情と闇、親の呪縛のようなもの。
登場人物が限定されていて、やたらといろんな人物との絡みがないことも良かった。やたらといろんな人間を登場させるタイプの物語は人物を覚えるだけで疲弊するし、人物の厚みが無ければないで、意味がないし、それぞれが強烈な個性や背景があったりすると、根底に流れるテーマや主要人物がぼやけてしまう。
大河と優希のお互いがお互いを心地良く思える要素が、親や環境という本人にはどうすることも出来ない事情であったことが切なくもあるが、ほんとうは感情豊かな子ども達がそれをうまく表に出せなくなる背景が非常に綺麗に描かれている。
洋平の親からの呪縛もなかなかだったし、それが彼を歪めてしまったことも実は気の毒ではある。
現代社会が抱えるヒトの心に巣食う闇と同時に、ヤクザの世界という社会の中の闇。それが静かに丁寧に描かれていて、心より感嘆いたしました。
光があるのは対比とする闇の存在があってこそ。
ニンゲン社会は、光だけでは成り立たないのだということも、深いところで理解出来た気がします。
そして、何より、優希と大河のラブストーリィがとても好きでした。
派手な感情表現をしない二人が時折見せるはにかむ様子、照れる顏、ほんとうに癒されました。
洋平を許した大河の器の大きさにも感動いたしました。
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今は、黎明なだけ