5.0
人間のエゴが生み出す悲劇の顛末
主人公のユリアは頼れる人がいない上、不幸なことに幼少期の記憶も失い、両親や家族のこともわからず一人で生きてきた。 心根の優しい彼女は虐げられても虐められても健気に生きる強さをもっていた。 しかし、自らの生い立ちを知り、つかの間の幸せも捨てなけれならなくなってしまう。 ユリアに罪はないのに、親も選べないのに、周りの人間のエゴに翻弄され続けることがどれほど理不尽で屈辱的か? それでもユリアは大切にしたい人のために自らを制し生きようとする。 最初、タイトルに感じた違和感が次第に薄まり、人間のもつエゴの醜さとその中で生きなければならない悲しさが混ざり合い、登場人物たちの思いが伝わってくる。
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狂愛と純愛