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母と娘の葛藤は熾烈
幼少期、寺に預けられ育った黄理子は母を母と認めない。当時の事情はわからないが、母は才能ある女優で弟だけは手元に置いた。母の女優としての資質は認めても、母親に対する嫌悪感は消えない。それらの事情を知る人との関わりを通しても母親を受け入れる気持ちにはならない。どんなに作品が素晴らしくても、その作り手である作家の人間性に疑いを持つように、黄理子は大人になってもそのスタンスを変えない。愛する事と憎む事が表裏一体であるように、黄理子と母の関係は混沌とした流動物のように浮遊する。二人ともこの関係を改善しようとはしない。むしろ憎み合うでもなく淡々としている。二人にしかわからない事があるだろうし、二人にもわからない事もあるだろう。母と娘という宿命を背負う二人の女の生き様が興味をそそる。
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日日(にちにち)べんとう