4.0
勇ましいタイトルと物語の内容にズレ
まずタイトルからイメージしていたのよりは話の内容は比較的ソフトで行儀よくまとまった話だなという感想。
全体的に品性を保った話は好みではあるが、「毛高き獣」とか「愛を知れ」とか大上段に構えているタイトルの割に話は読者の心に深く食い込む部分がない。
由梨が拉致されたり、恋敵が現れたりそれなりに起伏はあるがほどなく解決されそれ以上に読む側の心を揺さぶる次元にまで話は掘り下げられていないなという感想。そこそこの起伏があるだけというか。
例えば由梨や加賀が背負っている宿命や人としての本質的な悲しみ苦しみまで深く深く掘り下げられた心理描写などがあればズシンと心に響くものがあったかも知れない。
エログロを期待しているのではなくこの作品の品性を保ったまま人としての免れ得ない宿命や本質を深く掘り下げられていたら、星五つにしたと思う。
この作品は良作ではあるが名作とは言えない。
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気高き獣の愛を知れ