レシュアンの美点を語るよりも、マルソーを貶める方がライアンには楽なのね。なんか、色々語るに落ちたというか……個人としては好きだけど、未来の王妃としてはどうかと、内心分かってはいるわけだ。アホらしい。
レシュアンはレシュアンで、これも語るに落ちた。多分、ライアン達がマルソーの非難を始めたところで、思考停止するのが習い性になっているんだろうな。
自分がドジっ子発揮して池に嵌まっただけなのに、その結果、マルソーが犯罪者のように扱われる状況をどうすれば良いのか、正面から考えようともしない。そんな人間に友情を説かれたところで、今更信じられるわけもない。
どうしようもないから距離を置こう、それが無難だ、と言っているだけで、マルソーは別に、レシュアンを嫌いだと明確に口にしたわけでもない。実際問題、レシュアンみたいなのを嫌う手合いは一定率いる筈なんだけど、この程度の事にも耐えられなくて、妃になろうというのは無理がある。
ライアンが、自分の恋人の良さを、自信を持ってプレゼンできない理由がこれなのだろうが、だから代わりに、マルソーについてある事ない事言い立てます、というのはどうなのか。多分、この人が王になったら、冤罪が多発する。
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悪女にかまわないでください
010話
第 10 話