3.0
無料分は結構楽しめましたが
「私の幸せななんちゃら」と「傷モノの花なんちゃら」と「離縁はいたしかねなんちゃら」を足して3で割ったような設定ですが、逆に言えばこの手のシチュエーションを、昔も今も作者も読者も大好きってことなんですね。これらの作品の違いはどこかを楽しむのも一興かと思います。完全に同じ物なんかないんですから。
この作品の良いところは画力。特に画面のセンス。ただ作者も読者もそれが大好物なのかも知らないけど、最初の咲弥様、そして咲弥様の母親の傍若無人ぶりな逆ギレ加減がなかなかのリアリティのなさ。今は傾きかけた経済状態なのかもしれないが、元華族の家柄つったら世が世ならお姫様ですよ。朔弥様の家が皇族かなんかならわかるけど、どんなにお金持ちの大会社の息子や奥様だとしても、使用人でもまだ家族でもない良家のお嬢さんにこの口の利き方はありえないでしょう。これで貿易会社の社長夫人や取締役?そんだけの立場の人が、社会人として最低限の敬意や礼儀作法は持っていないなんて、ダメでしょうこの会社。旦那様の時代錯誤な暴言からの罪悪感→イチャイチャ。姑の反対と嫌がらせ→夫のカバーと嫁のけなげさ。そういうのを純粋に楽しむ「漫画」なのかもですが、漫画だから何でもアリじゃないだろうと私は思います。
でも、母親の異常な執着を「ハサミを隠して物陰から息子の様子を伺う」というたった一コマのわずかな場面だけで伝えられる、抜群のセンスと表現力を感じます。また、酒屋の源ちゃんの初登場シーンの、源ちゃんの体の向き、それだけで見事な伏線になってる。「あれ、中の様子を伺ってるのかな?犯人?」と一瞬思うんだけど、すぐに清子への挨拶、滝川とのやりとりから和気藹々の流れ。ミスリードがお見事。そういうセンス抜群の漫画家さんなので、無料分は結構楽しく読むことができました。しかし、清子の実の両親と妹は、顔に痣のある家族を厄介者扱いするわ嫁ぎ先から帰ってくるよう嫌がらせして足を引っ張るわ、ろくでなし一家。咲弥の母は息子に依存してるし、父親も咲弥のことしか考えてないし、そのせいか弟は弟で相当兄に対してやべえモン抱えて婚約者を追い出そうとあの手この手を使ってくる。主人公カップルの清らかさ愛の強さを強調するためのシチュエーションだとしても、世界観が偏って陰湿すぎる。こういうのの行く末を、私は読みたくはならない、これ以降の有料回購入は残念ながらないです。
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朧の花嫁~かりそめの婚約は、青く、甘く~【フルカラー版】