thereさんの投稿一覧

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31 - 40件目/全70件
  1. 評価:5.000 5.0

    しがらみからの脱出物語

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    女性向けの漫画であるのなら、仰天するほど雑な絵で、ちょっと怯みます。岡田あーみんとか、しりあがり寿を彷彿とさせる、独特な個性の絵柄です。なので、個人的な楽しみというよりは、読む必要性があって読んだ、という感じだったのですが、とても斬新な作品でした。ヒロインはかなりイタい女性です。ひたすら相手に合わせていて、自分というものがないので、仲間内からも軽く見られており、彼氏からも雑に扱われています。そんな彼女がどんな生い立ちから出来上がったのかが描かれ、また、呪いに近いしがらみから抜け出て自分を構築していく物語です。田舎の閉塞的なコミュニティで生きる息苦しさや、母親との関係性など、ズルズルと重い鉄球を引きずりながら生きているかのようなヒロインですが、全体的にギャグっぽい空気が漂っており、暗い気持ちにはなりません。とはいえ、社会や人生の薄暗い部分を扱った作品なので、「漫画にそんなものは求めてないです」と言う方には、不向きだと思います。思い切った挑戦がなされている、素晴らしい作品だと思います。

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  2. 評価:4.000 4.0

    なにしろ小説家ですしね。

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    槇生の視点に共感するひとと、槇生の姉の視点に共感するひとに分かれるんじゃないでしょうか。「そんな当たり前の事もできないの」という姉はマジョリティで、槇生はマイノリティ。槇生は、常識に疑問を挟まず、当たり前の事を何事もなくソツなくこなすタイプの人物ではありません。会社の雇われで働いたら、間違いなく不適応を起こすタイプと思われます。とても正直で、誠実なので、「あたりさわりない事を適当」に言うことはありません。そんな彼女が、両親を一度に失った姪の朝ちゃんを引き取ります。姪が気の毒だからとか、叔母として放って置けないからではなく、相応しくない場所に多感な年頃の子を置きたくない、というような動機です。通常なら、槇生のようなタイプの人間にとっては、最もあり得ない選択と思われますが、想定外の出来事が、彼女の生活に変化を与えます。血縁という、選択の余地のない人間関係を含む、人との繋がりについて考えさせられる作品です。

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  3. 評価:3.000 3.0

    過労死寸前では。

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    積極的にさっさと死んで、ショートカットで転生モノならではのチートを得ようとする主人公というのは、特殊な設定ですが…。設定はあるものの、数話読んでも、ストーリーらしいストーリーは展開しません。いきなり巨乳の女性が降ってきて、全裸で主人公に軟膏?を塗らせたり、女性の下半身を煽り上げるショットが入ったりします。そして主人公は鼻血を出しています。…なにやら投げやりな感じが漂う作品です。勢いにヤケクソを感じます。勝手な推測ですが、過労死しそうになっているのは、この作品の制作者では?と心配になりました。見当違いである事を祈ります。

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  4. 評価:4.000 4.0

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    「本の虫」という事で、社交は苦手だけれど、知識が豊富なヒロイン。その豊富な知識を生かし、王太子の政務を支えます。家族からも、パートナーからも愛されているヒロインで、安心して見守る事ができます。ヒロインの家は、家族が全体的に学者気質で、知識欲はあるものの上昇志向には乏しいため、華やかな表舞台には立たないけれど、王家のブレインとして機能しており、ヒロインはそんな家族からも強力に守られています。フンワリした可愛いイメージのヒロインですが、後ろ盾も含め、最強キャラと言えます。

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  5. 評価:5.000 5.0

    主人公と一緒に山に登っている感じ

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    登山家の方々にも、色んな方がおられると思いますが、この作品の主人公は、山に登る人生以外の選択肢がない、というようなタイプの人物に思えます。彼にとっての登山は、ぎりぎり社会性を保った、しかし内実は限りなく自傷行為に近い意味を持つ行動のように感じました。山は容赦なく奪うだけでなく、与える事にも豊かな場所で、結果的に、主人公に社会的な役割や人との繋がりを与えてくれます。圧倒的な画力の高さがリアリティを与えており、その分主人公の心情を追いかけていく事が、苦しく感じられる作品でもあります。

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  6. 評価:5.000 5.0

    作者が若者を励ましているかのような作品

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    オムニバスです。複数作品で、自己肯定感が低い、いじけた男女が主人公になっています。ですが、ユーモアのあるキャラなので、愛着が持てます。周囲から小バカにされていたり、失礼な陰口を叩かれたりし、デリケートな主人公たちは深く傷付いていますが、ありのままの彼らの魅力に気付いている異性との関係性を通して自信を持ち、周囲も魅力に気づく、というような流れです。読者の視点は「周囲の人」目線で固定されており、主人公たちは最初はモッサリしたビジュアルのデフォルメがされていますが、ラストシーンでは、十分可愛かったり、普段のスーツ姿でいても、十分色気のある男性だったりします。年長の作者が、若者たちに「あなたは十分魅力的だよ、」「見る目のないヤツの言うことなんか気にするな」と励ましているかのような作品です。

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  7. 評価:5.000 5.0

    ラブコメを装う社会派作品

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    偽装結婚モノですが、2人の恋愛物語というよりは、職業としての主婦業にスポットが当ててあり、そもそも結婚とはなんだろう?というテーマの物語だと思います。ヒロインをある程度、理屈っぽい頭脳派に設定した上で、「にもかかわらず、家事代行業のバイト」をしている状況を作るために、「臨床心理士」を取得したものの職に就けなかった、という流れにしたのかな、と思います(確かに学業を積んでも、なかなかポストがない職業だからね)。多くの人が、「まあそんなものだ」と、立ち止まって考えもしないようなところで、「小賢しい」ヒロインは立ち止まります。「結婚したなら当たり前」「主婦ってそんなもの」と、多くの人が思考停止に陥っている部分に斬り込んだ作品です。ヒロインはそんな感じのキャラなので、少なくとも可愛らしいタイプの女性ではありません。テレビドラマでは、みくりさんを人気俳優が演じる事で、愛されキャラとなりました。新垣結衣さんが、「私が演じる事で、みくりを可愛い、と言って頂けるのは嬉しい」というようなコメントをしているのを耳にしましたが、偏屈なヒロインを、多くの人に共感的に受け入れられるようなキャラとして演じる努力をされたんじゃないかな、と感じた事でした。

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  8. 評価:5.000 5.0

    現実をより美しく描いたファンタジー

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    ストーリーだけでなく、絵のタッチも含めた空気感が好きです。この作家さんの作品は、恋愛とは違う愛情の形でも、そこにごく微量の色気が混ぜてあるように感じます。現実はもっと雑然として素っ気ないものだけれど、作家さんの筆を通して透明感ある美しい物語が展開します。埃っぽい現実世界から離れ、清浄な空気を吸い込んだ気持ちになれます。

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  9. 評価:4.000 4.0

    ご安心下さい。幼女には手を出しません

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    政略結婚&年の差婚の物語です。ヒロインがまだ10代で、旦那様は30代の大人なので、旦那様側は幼い妻との関係性を育てたり、彼女が成長するのをゆっくり待っている状態です。いくら妻とはいえ、あまりに幼いので、だいぶ手を出しづらいご様子です。幼いヒロインが、様々な経験を重ねながら成長し、旦那様に庇護されるだけの存在ではなく、パートナーとして機能していくようになっていく物語です。女性としても、ベテラン女子の方々からのアドバイスや入れ知恵もあり、旦那様を煽る事もできるようになって行きます。ヒロインの成長物語を楽しむ作品です。

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  10. 評価:5.000 5.0

    美しい作品

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    切ない、透明感のある世界が描かれていて、作品全体に流れる雰囲気そのものが好きです。ゴッホの弟テオの、兄の才能に対する深い嫉妬と、さらに深い兄弟愛が描かれています。天才ゴッホの作品を世に送り出すために、画商の弟がどのような戦略をとったかについて、漫画ならではの大胆な展開が創作されており、驚きました。作品中のゴッホのキャラは、私の中のゴッホのイメージとは少し違っていた(私の中では、ゴッホは理知的で、それ以上に感受性が強すぎる純粋な人という感じ)けれど、ピュアな人物という所は一致していて、嬉しかったです。静かに凄みのある作品です。

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