4.0
人生は思うに任せない
大分前に無料話を読んで今一ピンとこなかったので離れていたが、最近再開して少しづつ読み進めた。最終話を読み終えた時胸が詰まり涙が湧いてきた。長い間疎遠になっていた兄から結婚報告があり、祝いの言葉を書くときに純の胸に去来する本音が全てを語るからだろうか。この作品は純の苦悩、葛藤、迷いなど心情がきめ細かく丁寧に描かれていき、感情移入まで行かなくても、自分だったらどうするだろうと考えながら読ませる展開だ。他の登場人物たちにも同じことが言える。それだけ現実味に溢れた物語で刺さる人には刺さる。純は本音を飲み込み溜めてしまうタイプで、夫の武頼は頼られると嫌とは言えず一人で背負ってしまう性格。二人とも不器用な性格だ。恋愛は打ち上げ花火のようにすぐ終わってしまうが、結婚は生活だ。結婚生活に停滞期は付きもの、「七年目の浮気」という古い映画まである。夫婦それぞれがよそ見をしてしまうが、夫が歩み寄りを見せた時に純が拒まずに胸に飛び込んでいけば少しはお互いの本音が見えたかも。親が亡くなった時そばで支えてくれる伴侶の存在は大きい。純は母親への想いが強く武頼も相性が合い多分実の親以上に物心両面で世話してくれたことは何にも代え難い。生きていて問題にぶつかった時に自分はどうしたいんだろうとその都度自問しながら決めていくしかない。相手を必要として相手にも必要とされていることが大きな意味での「愛」と言えるのではないだろうか。武頼の顔が終始暗くちょっと苦手なので評価を一つ下げた。
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それでも愛を誓いますか?