深い、ツバメの巣立ちの話。店長とアキラそれぞれの心模様だね。たびたび出る空を見上げるシーンと繋がっていて作品の奥深さを感じる。
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深い、ツバメの巣立ちの話。店長とアキラそれぞれの心模様だね。たびたび出る空を見上げるシーンと繋がっていて作品の奥深さを感じる。
文芸部の学生に戻ったようなやり取りが笑える。「オレには気分が転換されね〜」の表現とか「あきら」の名前をめぐってのチグハグなドタバタ。青春時代の思い出を共有できる付き合いがあるっていいな。
誕生日パーティーの飾り付けに七夕の短冊を作ったり、予約したケーキをすっ転んでダメにしちゃったり、ドジなお父さんだけど、別れて暮らす10歳の息子の心には届いているよ。もうすぐ親より友達の世界に惹かれていくんだもの。親心ってなんか切ないな。
あゝこの人はこんな人だったな〜、と斜め下に目線を落としたヒロインの表情が秀逸。人はそうそう簡単には変わらない、変われない。
うまい、この流れ。学生時代文芸部で小説家を夢見て同人誌を創った仲間たち。元妻はその一人だったけど九条ちひろとは別人。「ちひろ」という名前で女性と思い込んでしまった、私のジェンダーバイアスだ。男女共通の名前は数多あるが、文脈から作者の意図に見事に引っかかってしまった!「キャベツ畑でつかまえて」に即著名な小説を思い出して思わず笑ってしまった。
バーでの信一と一葉の再会、一言のセリフもないのに表情だけで伝わる!こんな場面を描ける漫画家他にいる?
二重の衝撃だわ!亡き父に婚外子がいたということ、その青年に異母弟とは知らずにトキメキを覚えたこと。
好意を示すアルバイトのヒロインを突き放そうと放った言葉かな。ネットで見ていた小説の作者は多分元妻のようだから気持ちの上で複雑な感情もわいてきただろうし、目の前の若者への言葉がきつくなるのもわかるような。
17歳の女子高生が店長の気持ちや立場を察するのには無理がある。コーヒーに砂糖を入れるシーンで店長は若かりし頃の思い出に戻る。自分も通ってきた道だけど、いまは目の前の若者の純粋さと眩しさにたじろぎ守りの姿勢に入る。同じ男でも加瀬の狡猾さと比べると店長をためらわせるのは年齢差だけでは無い。彼の人となりと誠実さなのだ。ヒロインが惹かれたのもそこなんだと思う。
人物のそれぞれの表情が豊かで的確に描かれていて上手い。ギャグほど大げさではなく、それでいて心情が読み取れる描き方で思わず笑ってしまう場面も。
恋は雨上がりのように
068話
第67話