5.0
最後までハラハラ
まず絵の美しさ、色彩のセンスはこれまで読んできた
多くの作品の中でもピカイチ。
人物もですが、特にドレスと装飾品の華麗さ、貴族の邸宅のインテリア・
家具調度の豪華さ、随所に飾りとしてあしらわれた花々に至るまで、
丁寧に描きこまれていて、うっとりします。
ストーリーは、伯爵の後妻となった下層階級の母の連れ子として
貴族の仲間入りをしたアリアが、それを嫌悪する義妹ミエールの
謀略によって「悪女」の汚名を着せられて処刑されるという、比較的
ありがちな話だと思いました。
それが、不思議な力を持つ砂時計を手に入れたアリアが過去の世界に
蘇った時からめまぐるしく展開する状況に、どんどん引きこまれて行きました。
謎めいた貴公子アースの正体も、アリアとの関わりも気になって・・・。
アリアが、自分を陥れた者たちへの巧妙かつ容赦ない復讐と、それに
輪をかけたミエールの卑劣な罠との攻防は、文句なしに読ませます。
ついにミエールの悪計が暴かれて、「悪女」として処刑されるのですが、
これはまあ自業自得でしょう。
アリアとアースも、お互いの愛情を確認して結ばれることになり・・・と、
「めでたしめでたし」で終わるのかと思いきや、まだひとひねりありまして!
・・・結局、最後まで課金して読むことになりそうです。
(あと数話。)
かなり長い話ですが、無料分が多いし話が面白いので、退屈はしません。
お奨めです。
※ひとつ気になったのは、アリアがお茶を飲む時、小指をピンと立てること。
これは日本がでも昔、西洋(と呼ばれていた頃)から紅茶が入ってきた時、
良家の子女たちが「ハイカラ」な飲み方として好んでしたポーズですが、
今では不自然で滑稽だと、マナーとしては否定されています。
もっとも、作者さんは承知の上で描かれたのかも。
というのも、アリアはもともと平民の出で、正式なマナーを習って
いないので、幾分自己流のところがあるのかもしれないし。
などと、細かいことには目をつぶって、どんな結末になるのか
見届けるつもりです。
無条件なハッピーエンドになるのかどうかも未知数で、
すごく気になりますし。
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悪女は砂時計をひっくり返す