4.0
不思議な読後感
オムニバス形式の短編集です。
表題作の1話目を読んでみた感想を。
可愛いけれどちょっと変わったキャラの幼なじみ百花に誘われて、
3日後にとり壊される予定の工場の廃墟に「冒険」に出かけた風子。
じつは風子は以前、見知らぬ男にこの廃墟に閉じこめられた過去が
あります。
なんとか自力で逃げたものの、風子はその時の記憶を失っています。
そんな風子は、こんどは百花に鎖でつながれてしまい、
「3日後に工場が爆破されるまでに、私の探し物を見つけて。」
と言われて・・・。
風子の記憶が戻れば探し物は見つかるけど、思い出せなければ、
2人とも工場とともに爆破で死ぬと。
なんとも不思議なストーリー展開ですが、現実から遊離した感じの、
幻想的というか、不思議な世界のできごとのような印象を受けます。
美術の世界で「廃墟の美」というジャンルがあり、そういう絵ばかりを
描いた画家がいました。
名前は忘れましたが。
そんな感じを思い起させるような、ある種の美しさをたたえた作品でした。
「儚い」と紹介されていましたが、たしかに少し物悲しい、不思議な印象を
受けました。
他の話も読んでみたいと思いました。
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廃墟少女