ルウェリンにとってこのパーティーの意義はブリオン公女の名誉回復だろう。王女のパートナーとして彼女の美しさを示し国王にも従姉妹として引き合わせる。幸せそうな笑顔や王太后の侍女に毅然と言い返す姿を見て、ブリオン公爵は考えたかもしれない。娘を虐げる義妹と娘に自信を取り戻してくれた王女、どちらに与するべきなのかと。
第二章のここまでは、正統な王座を取り戻すと誓ったルウェリンがパメラとの立場を逆転させ、いよいよブリオン公爵家さえ取り込んで高貴なる5つの家門を従える為のレールが敷かれた物語だった。ヴィセルク、ブリオン、サンドビューレン、ガトリンがー。モード家も成長したディアンがいずれ継ぐのではと私は考えていて、これは同時に1章時からアルマンが敷いてきたレールが動き出したと言う事でもある。
そう、アルマン。2章は王女との確執が解け、彼がメインヒーローとしての姿を見せ始めた物語だった。5年前の真相を知り彼の慟哭の様な告白を聞き本音をぶつけあった事で、ルウェリンは自分の本心に気付かされた。惨めな現実から逃げる為に今の自分は昔とは別人と思おうとしていた事。けれど本当は昔の自分はずっと自身の中にいた事。「お前は今も昔も変わらない」アルマンの想いは、凍てついたルウェリンの心に亀裂をいれて解かして行った。
それに伴いエルネルは退く事も含めて自分の気持ちを固め、トリスタンは忠誠と思慕の間で揺れ、バスティアンはとうとう本当の姿……ルウェリンを愛するが故に呪いをかけた黒幕の姿を見せ始めた。今回のトリスタンへの接触に関しても。
あの雪の中の二人を団長は目にしていた。正直ここまでにも、彼がアルマンに対して劣等感を抱く場面は描かれてきた。そこには自分では王女の隣には立てないと云う諦めもあっただろう。それをバスティアンは焚き付けた。アルマンはルウェリンの過去で君こそが現在だと。既視感のあるこの言葉は、131話でアルマンが好きなのは過去のルウェリンと云う話を聞いていたから出た言葉だろう。この誤解が既に解決していると知らないままに、トリスタンの葛藤に付け込んで利用しようとしている。自分では手を出せないアルマンを排除させる為に。ルウェリンにとっては過去も現在も未来もアルマンだと私は思う。団長は、バスティアンの甘言に惑わされないで欲しい。
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捨てられた王女の秘密の寝室【タテヨミ】
163話
今日は踊れないはずだから