この人生の起点に戻り、そうしてもう一度積み上げ直す。間違いだと思っていたものを一つ一つ確認して、間違いじゃなかったと思い直して、もう一度今の場所まで。
そんな事を思わせるよう幼い頃のイネスとカッセルの姿。イネスにとっては始めから別れるつもりでした結婚相手の指名だった。カッセルみたいな綺麗な男なら、自分と離婚した後も次の相手に困る事はないだろう。この結婚はどうせうまくいかない、と。
けれど、過ごしてきた時間の中でイネスの気持ちも二人の関係も変わってきた。今回イネスがこの結婚の理由を打ち明けたのも、彼女の気持ちが変わったからだろう。カッセルと別れる選択肢を選べなくなって、彼を選んだ理由を隠したまま共にいられなくなった。
でも今は違う。カッセルと共に生きていく。カッセルを側に置いて、カッセルの子供たちを生んで、これからも彼と共に生きていくと。………そう望むくらいに、本心からカッセルを愛しているから。
「夢は終わったんだイネス」この言葉に、読んでいる側も胸が熱くなった。イネスが罪の意識を抱き続けて来た前の人生の記憶。周囲の人を巻き込んで自分を壊し続けてきた悲しい過酷と云う夢は終わった。目覚めた彼女は……そして恐らくは彼自身も、今生きている幸せな時を今度こそ生きていけると願いたい。
ただ、心配なのはいまだにその夢に囚われている人間……オスカルの悪意が、二人を苦しめないかと云う事。いや多分間違いなく何かして来るよね。今度こそ皇太子の嫌がらせから逃げ切って欲しい。
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この結婚はどうせうまくいかない
123話
第113話