5.0
タイムスリップの切ない恋愛とサスペンス
タイムスリップの恋愛ものによくあるように、本作でも恋愛やその他のハードルが次から次へとやってきます。単行本の後書きによれば、予想外に長くなったようですが、サスペンスのテイストまで入ってきてスリリングな展開になっているので、引き伸ばし感は全くありません。
ヒーローの孝章は雛子お嬢様の婚約者だから、現代からタイムスリップしてきた陽菜は彼の好意になかなか応えることができず、単行本8巻でやっと結ばれたのに、陽菜と孝章は、やはりそれぞれの時代で生きていくしかないのでしょうか。主人公カップルの他に準主人公とも言える武虎と陽菜そっくりの雛子も陽菜達の逆バージョンの困難に直面します。4人が結ばれるハッピーエンドが想像できなくて切ないですが、これがタイムスリップ恋愛ものの醍醐味かなと思います。
8巻で2人が結ばれたことには賛否両論あるみたいですが、私はよかったと思ってます。でもこれが孝章との別れを暗示しているのではないといいのですが。私はむしろもっと濃厚な描写が欲しかったですが、少女漫画に分類される以上これが限界だったのかもしれません。
その他、菊やチヨ、天進、貞光など魅力的な脇役もそれぞれ違う魅力があって感情移入できます。特に陽菜を好きなモテ男菊の献身と実らぬ想いが切ないです。
この作者さんの漫画には『関根くんの恋』『ムサシノ輪舞曲』『夏雪ランデブー』など、色々傑作がありますが、私は、人気の高い(?)関根くんより断然孝章様派です。関根くんは評価高いですが、私は彼のキャラにどうにも感情移入できませんでした。
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涙雨とセレナーデ