2.0
設定の面白さ、底の浅さ
一言で表すなら、「もったいない」漫画だと思った。
「消したい感情を消せる」能力、という設定は面白いと思った。
ネガティブな感情、例えば恐怖だとか怒りだとか嫉妬だとか、そんなもの、感じている最中は誰だっていい気はしない。
だが、ネガティブな感情やコンプレックスが人間のモチベーションになり得るのはよくある話だ。
だいたい、負の感情だって欠くことの出来ない私たちの一部なのであって、その一部分だけを都合よく消去しようとすれば、人間はあっさり破綻するだろう。
そのあたりを、どう広げて、掘り下げて、ストーリーに仕立てるのか、というのが、私のこの漫画に対する期待だった。
しかし、まあーその掘り下げが浅いの何の。
「恐怖を失ったら、車に轢かれた」
「怒りを失ったら、にやにやした何か気持ち悪い人になった」
「嫉妬を失ったら、アイドルをやる気がなくなった挙げ句、狂信的なファンにバットで殴られた」
おいおい。
いくら何でも浅すぎる。
余談だか、昔ジャンプに「マインドアサシン」という漫画があった。
主人公は医者で、相手が「消したい記憶」を消せる、という能力を持つ。
設定がちょっと似ているが、はっきり言って、「マインドアサシン」の方が百倍面白いので、興味のある方は、是非どうぞ。
- 80
消したい感情、ありますか