4.0
現代版・乱歩
江戸川乱歩という作家は、確かに少年少女向けの探偵小説を書いたし、私も子どもの頃、それで乱歩を知った。
だが、本質的には、非常に倒錯的で妖艶で淫靡な、「少年少女お断り」的な作品こそが、乱歩の真骨頂だったのだろうと思う。
そういう乱歩の作品の空気感を、最も強烈に具現化したのは、別の漫画だが、「パノラマ島綺譚」ではないかと思う。
「パノラマ島綺譚」が、乱歩の作品をそのまま漫画に「再現」したものだとすれば、この「孤島の鬼」は、乱歩の作品を現代的な漫画の文脈の中で「再構築」したものだ、という印象を受けた。
そのどちらが優れているのかは私にはわからないし、そこに優劣はないのかもしれない。
ただ、個人的な好みの問題としては、「パノラマ島綺譚」に軍配を上げたくなった。
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孤島の鬼