2.0
愚かさの裁量
いわゆる「ループもの」で、妻から離婚を突きつけられた夫が、離婚までの一か月を繰り返す、というストーリー。
(そもそも一か月でどうにかなる種類の問題なのか、ということは、不問とする。)
ラジオで人生相談をやっている方が、「女性が離婚を言い渡すとき、多くの場合、決意するまでにはたくさんの不満があって、何度もサインを送り続けて、それを無視され続けて、もう限界、と決断に至るのに、男性の側からすると『突然離婚を言い渡された』となるのが、不思議で仕方ない」という意味のことを言っていた。
まあ、我々男性は阿呆なので、往々にして、そうなのだろう。
そういう、男性の愚かさみたいなものは、なかなか上手く描かれていたと思う。
ただ、私はこの漫画が嫌いである。
男が愚かな存在として描かれているから、ではない。
その描き方に、愛情を感じないからだ。
私は、ダメ人間を愛情を持って描いたような作品が好きだ。
「ただダメなだけの人間」なんて、そうはいやしないのだ。
「ただのダメ人間」と切って捨てられるような人物を輝かせるのは、フィクションの素晴らしい魔法のひとつだと思う。
そう感じるのは単に、私自身がダメ人間だからなのかもしれないが。
いずれにせよ、この漫画からは、この「ダメな夫」に対する愛情を、まるで感じない。
結果、どうなるか。
主人公が応援するに値するキャラクターではなくなる。
それが、全ての作品において「ナシ」だとは思わない。
しかし、「ループもの」の主人公を応援できない、というのは、作品として致命的ではなかろうか。
だって、何度も何度も苦しむ主人公に対して、「次こそ頑張って抜け出せ」と、思えないんだぞ。
ただ主人公が苦しむのを眺めてカタルシスを得るような、そんなサディスティックな性癖は、私にはない。
あと、多分、作者は女性で(違っていたら申し訳ない)、男性のことをあまりわかっていない。
わかっていてこんな描き方をしているならば、いくら何でもサボりすぎである。
男は、馬鹿な生き物だと私も思う。
だが、言わせてもらえば、その愚かさというのは、この漫画で描かれているほど単純ではない。
男性の、というか、人間の愚かさをこんなふうに薄っぺらい紋切り型で表現することが、私は嫌いなのだ。
男の愚かさを、あまりナメてもらっては困る。
私は愚かな男性の一人として、そう思うのだが。
-
4









エンドレス離婚~もしも結婚生活をやり直せたなら~