5.0
現在進行形の最高形/600本記念
まず、作画のレベルがとんでもない。
まさしく大胆かつ繊細、という感じで、細やかで可愛らしくてカッコよくて迫力満点、抜群にポップであって、1コマで勝負できる芸術的な構図を連発するその圧倒的な画力は、少年漫画のひとつの理想形ではないかと思う。
こんなに凄い画をほとんど見たことがない。
週刊連載だろ?
何だよこれ。
バトルシーンは「ジョジョ」からの如実な影響を受けつつ、パリッとオリジナリティーもあって、こういうのを正当な「リスペクト」と呼ぶのだろう、と心から思った。
最初のバトルシーンでは、唐突な「ジョジョ風」の表出に笑いながらも、そのあまりの素晴らしさに鳥肌が立った。
いい大人が少年漫画でそんな体験、なかなか出来るものではない。
題材は一応オカルトなのだが、正直、オカルト愛に溢れる、という感じではなく、あくまでモチーフとして器用に利用している印象ではある。
偏屈なオカルト好きの私としては、そういうオカルトの扱い方というのはいかがなものか、という性格の悪いことを普段なら言うのだが、漫画としての技量が凄すぎて、どうでもよくなった。
参りました。
また、ターボババアやアクロバティックさらさらや邪視などの現代妖怪に付与された独自のバックグラウンドも絶妙で、それが作品に深みとアクセントを与えている。
これが日本のクラシックな妖怪だと、勝手な後づけは反則感が強くなるが、現代妖怪に照準を合わせたのが巧妙である。
アクロバティックさらさらの唐突な過去シーンには胸が熱くなった。
笑いあり、涙あり、全てが高水準で、嗚呼、読んでいて本当に幸せだった。
私は完全に別世界に連れ去られ、その世界においては、ただの少年でしかなかった。
私と漫画だけが、その世界にはあった。
遠い昔だ、そんなふうに漫画を読んでいたのは。
二度とないだろうと思っていた。
現在進行形の少年漫画でそんな体験を再び持てたことが、私は心の底から嬉しかった。
ありがとうございました。
あ、忘れてたけど、これ、ラブコメだ。
何だそれ。
もう、色々と凄すぎる。
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ダンダダン