rokaさんの投稿一覧

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131 - 140件目/全513件
  1. 評価:3.000 3.0

    小綺麗ではあるけれど

    ジャンルとしては一応、SFということでいいのだと思う。
    ロボット、アンドロイド、崩壊した近未来、という王道のモチーフである。

    それなりに見せ場もあり、グッとくるような展開もあり、派手な破綻もなく、結末もひねりが利いていて、小綺麗にまとまってはいる。
    しかし、上手く言えないが、作者はSFを描きたかったのだろうな、という感じは全くしない。
    「そこに世界を創る」のがSFだと私は思うが、そういう志みたいなものは皆無であって、SFは単なる具材に過ぎず、描きたかったものは何か別のところにあるのだろう、とは思った。
    ただ、じゃあ何を描きたかったんだ、ということになると、正直、よくわからない。

    小綺麗で形は整っているけれど、どこか空虚な印象が終始付きまとい、私はそれが苦手であった。

    • 2
  2. 評価:2.000 2.0

    怖いんじゃない、痛いんだ

    私は怖い話は好きだが、痛い話は嫌いである。
    ということで、読んだ私が間違っていた。
    その点は、すみませんでした。

    別に本作はホラー漫画ではないし、「いや、別に怖がらせることなんて狙ってねーし」と開き直られたら、私は何の反論も出来ない。
    だったらまあ、「怖い」というのは、「読者にスリルを与える」というふうに言い換えてもらってもいい。

    申し訳ないけれど、漫画でも映画でも、ホラーであれサスペンスであれ、「痛い」の方向に振り切った作品というのは、はっきり言って志が低いと思う。
    こういう言い方は嫌いなのだが、低俗だ。
    なぜなら、読者に恐怖を与えるより、「痛い」と感じさせる方が、百倍簡単だからである。

    ちょっと想像してみればわかるが、あなたが今から大の大人を怖がらせる話をして下さい、という課題を与えられたとしよう。
    結構ハードル高くないですか?
    しかし、これが「痛がらせる話」となると、途端に敷居が低くなる。
    それこそ爪がはがれた話でもすれば、事足りるだろう。

    感動の押し売りみたいな作品のことを指す「感動ポルノ」なんて言葉があるが、この種の作品を今後私は「恐怖ポルノ」と呼ぼうと思う。

    • 3
  3. 評価:4.000 4.0

    見事なバランス

    「誰よりも早く死体を見つける男」である主人公が、「誰よりも早く犯人に辿り着く男」の相棒となる刑事モノ。
    面白かった。

    「死臭が見える」という設定がなかなか上手く機能していて、「便利だけれど無敵ってほどじゃない」特殊能力として、作品のバランスをきちんと保っていた。

    主人公たちの過去の掘り下げ、個々の事件のエピソードの練られ具合、ダークな路線でありながら重すぎず、適度にポップでありながら読み応えはある、という感じで、ビールか何かのCMみたいな形容をしたくなる、そういう意味でもバランス感覚に優れた、なかなかウェルメイドな作品だった。

    全然ジャンルの違う作品との比較でアレなのだが、「闇金ウシジマくんだとちょっと重すぎるんだよね」という感じの読者には、結構刺さるんじゃないかと思う。
    絵柄の美麗さも相まって。

    • 4
  4. 評価:4.000 4.0

    可愛さという毒

    愛とは何か、なんてことは、難しすぎて私にはわからない。
    ただ言えることは、誰かが愛と呼ぶものを、我々がどう感じどう許容するかは、かなりの部分、いい加減な印象によって左右される、ということだ。
    可愛い皮を被ってはいるが、それを証明するような、実に意地の悪い漫画である。

    要するに、この漫画の主人公が(ある部分で)無邪気で、(ある部分で)純粋な美少女ではなく、ある程度無邪気で、ある程度純粋な、気持ちの悪い少年だったらどうなのか、ということだ。
    犬木加奈子の「不気田くん」(知らない人は検索して下さい)みたいな主人公だったらどうなのか、ということだ。
    賭けてもいいが、この漫画の主人公に決定的な違和感を抱きつつも、何だかんだで温かい目で見つめていた読者の大半が、「てめえ、そんなの愛じゃねえんだよ」と不気田くんを叩き、「許せない」と糾弾するだろう。

    いや、私はそうならない自信があるよ。
    なぜなら不気田くんが大好きだからである。

    まあ、それはいい。

    それはいいのだが、人の愛(ないし人が愛と呼ぶもの)の基準なんてひどく曖昧で、危ういものだ、ということが私は言いたい。
    であるから、誰かに対して愛だの愛じゃないだの、簡単に言っちゃいけないわけ。
    でも、さすがにこれは…となるでしょう、この漫画を読むと。
    そういう漫画。
    可愛さという単純だけれど強烈な毒でもって、愛の定義に揺さぶりをかける漫画。

    彼女が愛と呼ぶものを、あなたも愛と呼びますか、と。

    まあ、愛はときに凶暴で、人なんて簡単に殺_す。
    私は、そう思うけどね。

    • 3
  5. 評価:3.000 3.0

    その謎は煌めいているか

    映画でも小説でも漫画でもそうなのだが、ある種の曖昧さや抽象性というものを保持したままで作品を閉じる、つまり、話の筋について「何が起きたのか」について明確な答えを提示しない、ということ自体は、私は否定しない。
    映画の例で言うと、デイヴィッド・リンチという監督の一連の作品なんかはその最たるものだと思うが、私は大好きである。

    ただ、この種のアプローチには間違いなく弊害もあって、どこの誰が発明したのかは知らないが、実際は大した話ではない、それどころか、下手をすればそもそも結末を考えていない、にもかかわらず、「とりあえず曖昧にしといたらええんやろ?」とばかりに結末を濁すことで、何かそこに深みのようなものを感じさせてやろう、という作品が生まれ得てしまうことも事実である。
    それはちょっとまあね、ずるいわよね。

    本作がそうだ、と断定したわけではない。
    正直、私にはわからなかった。
    そこに何かあるのか、それとも、何もないのか。
    ただ、いずれにしても、こういうタイプの作品は、「そこにあるかもしれない何か」を探り当てたい、という読者の思いを喚起させられなければ、やはり成功とは言い難いのではないか。
    謎の答えがどうであれ、その謎自体は、煌めいて見えなければならないのだと思う。

    まあ、ショートムービーのような洒落た雰囲気、海中の描写の美しさには感心したけれど。

    • 2
  6. 評価:4.000 4.0

    非凡なセンスと、それ以外の何か

    ほとんどセンスだけで成立しているような漫画だと思う。
    実際、そのセンス自体は非凡であり、一応ホラー漫画っぽい体裁をとりつつも、ホラーの決まり事、お約束、そういうものをサラッと裏切りながら、というか、むしろホラー漫画の定型というものを逆手にとって、次から次へと連作的に話を紡いでゆくその様は、ホラー漫画という枠を飛び越えて、真っ当な「芸」として成立している。
    この才能は実に何というか、現代的で、感嘆した。

    ただ、「センスだけで成立している」というのは100%の褒め言葉であるかというとそうでもなくて、裏を返せば、小手先で作品を転がしている、というような印象も受けた。
    このあたりは、賛否、というか、好き嫌いがあると思う。
    「センスだけで何があかんねん」と言われれば、私はそれに対するまともな抗弁を持たない。
    しかし、三十年以上ホラーとベッタリで生きてきた経験上、ことホラーというジャンルにおいては、作り手のある種の偏執、いくぶん綺麗に言えば、恐怖や怪異に対する愛着や愛情みたいなものが、露骨に作品に出る。
    ホラー漫画における「センス以外の何か」とは、そういう部分だと私は思うし、私がホラー漫画に求めているのは、むしろその「何か」であるような気がしないでもない。

    • 4
  7. 評価:3.000 3.0

    設定の機能

    自ら怪異を体験することによってホラー漫画を描く鬼才の漫画家と、その助手みたいな役どころを務めることになった少年の話。

    ホラー漫画としては、上記の設定の部分がアイデンティティーかと思われる。
    が、いかんせん、それだけでは「弱い」という印象は拭えなかった。
    ホラー描写も、漫画家のキャラクターも、特段魅かれる部分がなく、残念ながら、設定が上手く機能しているようには思えなかった。

    • 3
  8. 評価:3.000 3.0

    あまりに記号的な

    「空が灰色だから」という傑作漫画があるが、それをちょっと思い出した。
    本作と類似しているというわけではないのだが、あの言葉にしようのない「心のざわつき」を喚起する漫画、本作が狙ったところは、もしかしてそれに近いんじゃないのかな、と。
    ただ、申し訳ないが、この漫画がそれに成功しているとは言いがたい。

    抽象的な言い方になるが、「何とも言えない」感じのエピソードが、記号として放り出されている、という印象を受けた。

    「空が灰色だから」の中には、決して言葉に出来ない何やかやを抱えて生きる、漫画的だが同時にひどく人間的な彼や彼女がいた。
    それは、思春期というわけのわからない時代の中で、適切な言葉を持ち得ないまま、何とか生きていたあなたや私の姿そのものだった。

    本作の中には、あなたも私もいない。
    それが否定されるべきかは難しいところだが、少なくとも、血の通わないエピソードに揺らされるほど、私の心に余裕はない。

    • 3
  9. 評価:3.000 3.0

    ジョークとしては

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    よくあるデスゲーム系、なんて言うのもはばかられるくらい、全てがテンプレどおりで、笑ってしまった。
    これをマジでやっているなら寒すぎるが、作り手の側も半分(たぶん半分以上)ギャグでやっており、それが逆に好感が持てた。
    このジャンルはあまりに手垢にまみれてしまったし、はっきり言って「真面目に読むとつまらない上に、ジョークとしても笑えない」ような作品が溢れる中、「まあ、ジョークとしては面白い」という本作は、なかなか貴重であった。
    しかしまあ、高評価をつけられるかとなると、そんなことはないのだが。

    • 4
  10. 評価:3.000 3.0

    漫画の中の文学

    うーん、評価が難しい。
    独特の世界観、と言えばそうなのかもしれないが、ちょっと「狙いすぎ」という気もする。

    おそらく作品のひとつの方向性として、「漫画で文学をやる」みたいなことはあるのではないかと思う。
    その志を否定するわけではないし、実際、文学を感じさせる漫画の中に優れた作品もあると思う。
    だが、誤解を恐れずに言えば、漫画は漫画だ。
    それ以上でもそれ以下でもない。
    漫画の中の文学というのは、あくまで読む側が「感じる」ものであって、作り手の側が押しつけるものではない。
    そのあたり、本作の文学の主張はちょっとうるさすぎる気がして、私は入り込むことが難しかった。

    • 2

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