Dr.STONE:ついにアニメ完結 嘘をつけない“科学”表現 松下周平監督インタビュー

配信日:2026/06/24 7:01

アニメ「Dr.STONE SCIENCE FUTURE」の一場面(C)米スタジオ・Boichi/集英社・Dr.STONE製作委員会
アニメ「Dr.STONE SCIENCE FUTURE」の一場面(C)米スタジオ・Boichi/集英社・Dr.STONE製作委員会

 「週刊少年ジャンプ」(集英社)で連載されたマンガが原作のテレビアニメ「Dr.STONE(ドクターストーン)」の最終(ファイナル)シーズン「Dr.STONE SCIENCE FUTURE」の第3クールが、6月25日にTOKYO MXほかで放送される第37話「未来を唆るもの」で最終回を迎える。テレビアニメ第1期がスタートした2019年から約7年、ついに完結する。テレビスペシャル「Dr.STONE 龍水」や第3期に続き、第4期の監督を務めるのが松下周平さんだ。松下監督にアニメ完結への思い、制作の裏側を聞いた。

 ◇現実の科学に即して

 「Dr.STONE」は、の稲垣理一郎さんが原作、Boichi(ボウイチ)さんが作画を担当。「週刊少年ジャンプ」で2017年3月~2022年3月に連載された。全人類が、謎の現象により一瞬で石化して数千年がたち、超人的な頭脳を持つ根っからの科学少年・石神千空が目覚め、科学を駆使し、仲間を探し、世界を取り戻すことを決意する。千空は科学を駆使して、ゼロから文明を築こうとする。コミックスの累計発行部数は2000万部以上。

 テレビアニメ第1期が2019年7~12月、第2期が2021年1~3月、テレビスペシャル「Dr.STONE 龍水」が2022年7月、第3期の第1クールが2023年4~6月、第2クールが同10~12月に放送された。最終シーズンは分割3クールで、第1クールが2025年1~3月、第2クールが同年7~9月に放送された。第3クールが4月からTOKYO MXほかで放送中。

 「Dr.STONE」の一つの重要な要素として「科学」がある。「Dr.STONE 龍水」から参加する松下監督は「科学」と向き合ってきた。

 「科学が軸にあって、物語が進んでいきます。科学は、僕たちが生きている現実世界でも実は身近な存在ですし、作品に触れることで新たな発見があります。物語の世界だけではない広がりのある作品だと思います。僕は文系でしたし、知らないことも多いからこそ勉強しながら作品に向き合ってきました。科学のことに対して嘘はつけない作品です。アニメ化にあたってマンガでは表現できない色や音などについて調べる必要があるので、科学について学んできました」

 松下監督は第1、2期には参加していない。途中参加となったが、それまでの方針を受け継ぎつつ、作品と向き合った。

 「現実の科学に即しているところは、引き継いで守られているルールだと思います。大幅に変えるわけではなく『基本的に同じ手触りのまま作ってほしい』というオーダーだったので、僕はやりやすかったです。自分自身、マンガ原作があるなら、原作を読んだときの感触を一番大事にしたいと思っているので、自分が入ったからこうしてやる……みたいなこともなかったです」

 ◇キャラクターの魅力

 第4期で、千空はついに宇宙を目指す。これまでの集大成となり、完結に向けて物語が加速していく。松下監督はアニメ化にあたり「テンポ」も大切にしている。

 「千空がずっと言ってた月に行くという『Dr.STONE』の集大成となるストーリーです。そのため、ロケットを作っていくところを丁寧に描きました。あとはキャラクターですね。キャラクターが増えているけど、それぞれが適材適所に配されていて、誰一人欠けない。最初の方に活躍していたキャラクターが後半でも重要な役を担います。そういう意味でもキャラクターをさらに好きになれます。それが作品の思想としてあるようにも感じていて、原作を忠実にアニメ化していけば、キャラクターの魅力を十分発揮できると思っていました」

 Boichiさんの描くキャラクターは魅力的だ。圧倒的な画力によって生まれたキャラクターをアニメで表現するのは難しいかもしれない。

 「Boichi先生はやっぱり絵がめちゃくちゃうまいんです。このビジュアルでしか味わえない『Dr.STONE』の世界観があります。例えば、大開きでドーン!と描かれたBoichi先生のビジュアルをアニメで再現するのは大変で、アニメーターの方々に頑張っていただきました。アニメーターもBoichi先生のファンの方が多く、丁寧にやりたいという思いがあるので、良い映像になっています。スタッフに『Dr.STONE』への愛が強い人が多いんです。スタッフからすごく愛されている作品だと思っています」

 ◇スピード感を大切に

 「Dr.STONE」は、高いテンションのまま最終章に突入した。テンポの良さが没入感を生み、物語に引き込まれる。

 「僕は編集が好きなんです。『Dr.STONE』はテンポのいい作品で、原作を読んでポンポンポンと進むグルーヴが持ち味になっているので、アニメでもそのスピード感を表現しようとしました。『あっという間だったね』と終わるような面白さを求めています。後半になるにつれて、どんどんスピードが速くなっていくので、そのテンポ感を大事にしていました」

 最後まで「科学」に向き合い、細部までこだわった。

 「アニメーションにするということは、現実を観察し直さないといけないので、例えばロケットの炎でも、このときは青色なのか、それとも赤色、オレンジ色なのかというのは燃料によって変わってきます。宇宙空間だったら、今度はどうなるんだろう……と有識者の方々にお話を伺いながら、アニメーションとしてギリギリ成立するところに落とし込んでいく作業は、特に後半は増えました。嘘がつけないんです。『Dr.STONE』は基本的に科学に対して嘘をついていなくて。一つ嘘をついてるとしたら人間の力なんです。超人的なキャラクターはいるけど、それ以外の嘘はつけない。とことんリアルにしなくてはいけません」

 既に制作は終わっているといい、松下監督は「今は無事放送されることを祈っています」と話す。

 「原作がしっかり終わっていたので、そこを踏まえて、アニメもしっかりエンディングを迎えたいという思いがありました。スケジュール的には大変でしたけど、最後まで面白くできたかなと思っています。千空がずっと言っていた『月に行く』という夢をフィルムでもかなえてあげたい。全てのアニメが最終回まで描けるわけではないですし、『Dr.STONE』が最後まで描けたのは、皆さんの力があってのことです。僕は途中参加ではありますが、それでも4年やってきたので、寂しさはありつつ、たどり着いたという手応えもあります」

 アニメ「Dr.STONE」は、スタッフの深い作品愛、細部までこだわり抜いた熱意によって支えられてきた。完結に向けて加速し続ける科学王国の物語から目が離せない。(阿仁間満/MANTANWEB)

提供元:MANTANWEB

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