3.0
スガシカオの「斜陽」の歌詞のような世界
前評判から鬱展開、という前提で覚悟して読み始めましたが、私はそうは感じませんでした。
プンプンが鳥のようなゆるい姿で台詞らしいものがなかったのも大きいと思いますが、少なくとも中学生時代編まで読んだ限りでは、報われない家族の絆の綻びに翻弄される健気さに胸を打たれます。また、愛子ちゃんとの幼い恋のくだりは、まるでスガシカオの「斜陽」の歌詞のようで、甘酸っぱいようで苦々しいものでしたが、決して「鬱」とは違うように感じました。
この作者の方は、うまく言葉で表現しづらい部分を、暗喩的な表現…謎めいた神様らしき人とか、目があらぬ方向を向いてる人とか、あざとさの一歩手前で効果的に使っていて、プンプンの、己の非力感や寂寥感がよく伝わってきました。
まだまだ話は続きそうですが、今後もゆっくりじっくり読み進めていきたいと思います。
読み終わる頃には、また感想も変わるかもしれませんが…。
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