5.0
昔読んだときと感じることが違う。
ベルばらを知ったのは小学6年のとき。
宝塚の舞台のTV放送を見たのが最初だった。
オスカルを演じていたのは 汀夏子さん。
宝塚の切ない愛の歌とともに 強烈な記憶となって頭に残った。
その後、友人からコミックスを借りて読み、私はすっかりベルばらに夢中になった。
頭の中にあったのは、宝塚の舞台そのままに オスカルとアンドレの愛の世界。
だからあまりマリーアントワネットとフェルゼンには興味がなかった。
でも今読むと違う。
あれからもう40年以上経ち、様々なドキュメンタリー番組でマリーアントワネットのことを知った。
牢獄の中に閉じ込められて 死を待っていた時彼女はどんな気持ちだったんだろう。
当時のフランスで、革命はどんな意味を持っていたんだろう。
革命が起きて 王政が廃止され ナポレオンの時代になり、 でもその時代でも 不満を持つ人たちはいた。
革命の時は、王政廃止・身分に関係なく人は皆平等の流れに、人々は皆、未来に希望を持っただろうけど、今現在でも、格差や貧困に悩む人達はいる。
その時代その時代で、人は皆、理想を求めて 懸命に生きるけれど、 その理想はその時代での理想でしかない。
いつの時代にも様々な問題がある。
そういうことを知っている今、この話を読むと、全く違う印象を持つ。
マリーアントワネットが現代にもし生まれていたら、 楽しく幸せな生涯を送ったのかもしれない。
親に決められた結婚をしたとしても、 その相手を愛せなかったとしても、 離婚して子供を抱えて再婚して… 恵まれた容貌を生かして 芸能界とかで活躍していたかもしれない。
あの時代に生まれて、フランス王妃になったからこその悲劇。
作者はマリーアントワネットの生涯を描きたくてこの話を描いたみたいだけれど、 発表当時の読者は 男装の麗人のオスカルとアンドレの方に注目し、それ故に人気作となったベルばら。
実は私も オスカルとアンドレが亡くなって以降の話にはあまり興味を持たなかった。
でも今はそれ以降の話も興味深く感じる。
どんな作品でもそうだけれど、読み手が変わると全く違う作品に感じることがある。
この作品もそういう作品の1つかもしれない。
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