5.0
壮大な舞台を見たような気分
色々な時代にいる、全く違う環と周という2人の人間模様を短編式に見ていく物語
別に全部が同性愛テーマじゃなく、ただひたすらに『人間同士の愛情って色々な形があるよね』ということを垣間見れる作品集
どれかの関係性を肯定も否定もしない感じ。今の時代にこそ、評価されるべき一冊だと思う。買って後悔はしませんでした。
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色々な時代にいる、全く違う環と周という2人の人間模様を短編式に見ていく物語
別に全部が同性愛テーマじゃなく、ただひたすらに『人間同士の愛情って色々な形があるよね』ということを垣間見れる作品集
どれかの関係性を肯定も否定もしない感じ。今の時代にこそ、評価されるべき一冊だと思う。買って後悔はしませんでした。
環と周、最初の試し読みから、同性愛者のお話かと思ったら、さまざまな時代の環さん、と周さんのお話でした。
それぞれに物語があり、背負うもの、環境も立場も違いながら懸命に生きる。世界観に入り込み感情移入してしまう場面もあり、短編集だけどそれぞれ深い。漫画のような、小説を読むような、感じでした。いつの時代にも日常、人々の生活はあるんですね。
時代、性別、関係性が異なる、環と周の物語。
時には夫婦、時には友人、時にはご近所さん。共通しているのは、各話の中心が、環と周ということだけ。
それぞれの物語に、分かりやすい派手さはありません。でもそこがいい。悲しい話もあれば、ホッとする話もある。色々な、環と周の物語があります。
私個人は、昭和のご近所さん同士の話が好きです。
読後感が清々しく希望が持てます。読んで救われる人もいるだろうな。人生が過酷で、それでも強く生きていく面と、情が複雑に存在して理屈に合わない事をする弱い面と、人の色々な側面が絡み合って、その中心を一本の愛という芯が年月を貫いている気がしました。今側にいる人を大切にしたくなりました。
それぞれの時代の偶然同じ名前の2人の物語かと思って読み進めていたら、最後のお話と1話目の夫婦が繋がり、なんて壮大な物語なんだと余韻に浸ってしまいました。
ラストの一言が深い。
もしかしたらわたしにもこんな壮大なストーリーがあるのかも知れないと思うと、自分の人生が愛しくなりました。
よしなが先生の本は大奥で知ってハマり、こちらも期待して手に取りました。
色々な時代の環と周を描いており、愛情にはいろんな形があること、多様性の時代に寄り添う内容だと思います。
そして最後の「また会ったね」も印象的でした。そんな偶然の出会いを私も大事にしていきたい。
ひとつひとつ短編として読み、最終話のラストとエピローグを読んで全部同じ環と周のはなしなのか!と衝撃を受けました。魂が輪廻して全然別の環と周となって出会う。しかも最終話の約束通り、環さんが周さんを見つけて声をかけ、環さんが周さんを救う話。
壮大な一冊でした。
周(あまね)と環(たまき)という性別不詳の名前をもつ2人の優しい関係が、時代も場所も性別も年齢も変わりつつ展開する。
周る環は、輪廻だろうか。
エピローグまで読んでこそ繋がる、美しく壮大な物語だった。
よしなが先生のお話はどれも何度も読みたくなるものばかりですが、環と周は時代が変わっても大切な人として巡り合う素敵なお話しでした。完結してしまっていますが、もっと色々な時代の2人のはなしが読みたいです。
第一話の終わり方に少々呆気なさを感じつつ第二話、第三話と読み進めるうち謎解きにも似た感情が押し寄せ、どの話にもよしなが先生らしさが溢れた見事な短編集!最後のエピローグまで読んでまさに完結と思える圧巻の作品でした。