5.0
BL枠に収まらない一大スペクタクル
・画力とコマ割り等の表現力
・心理描写
・物語と構成、世界観
・笑うポイントの頻度とセンス
・人物の造形や設定
をプロットしたら、限りなく正五角形に近い完成度の作品だと思います。
恋愛の展開(縦糸)は読者の感情を激しく揺さぶるし、舞台となる島を巡るミステリー(横糸)も骨太で、読み応えがあります。
読んでいて登場人物に感情移入してしまうのも、それぞれの境遇や感情が丁寧に描かれ、また計算されているからと感じました。
使命感と厭世観から必死に自分を保ってきたのに、愛を知って戸惑いや恐怖が生まれて揺らいでしまう、とか、
自分の体に対する不安や、仲間を差し置いて成長し幸せになる罪悪感、とか、
社会に触れることで、絶対だと信じて従ってきた価値観(心理学的に言うグレートマザー)に違和感を覚え、脱却のために対峙する、とか、
自分の絶望的な行く末と境遇から、人を想うことを躊躇う、とか、
話の展開や心理描写がいちいち深くてえぐられます。
実は現代のお話でした、という点は好みが別れるところと思いますが、私は、読み進めれば違和感がなくなりましたし、島からの解放というベクトルへ向かうなら充分あると思います。
ただ、児童虐待シーンは本当に胸が痛いです…
社会全体が子どもの犠牲を潔しとしてのうのうと平和を貪る様や、弱者を引き摺り込むグルーミングやセカンドレ○プ等…読んでて苦しい…
どうかみんな幸せになれますように。。
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