4.0
読ませる読ませる
他人の「死のにおい」を感じとることが出来る、仏壇屋で働く主人公と、セクシー女優(って今は言うよね)のラブストーリー、が基本線。
強烈なサプライズがあるとか、深い感動を呼び起こすとか、申し訳ないが、そういう特別な何かがあるわけではないのだけれど、とにかく「次を読ませる」という推進力みたいなものは半端ではなく、一気に読んでしまった。
非常にテンポがよく、飽きさせない。
正直、人の生と死を巡る問題を描くにしては踏み込みが浅すぎると思ったし、設定をそれほど巧妙に活かせているとも思えなかった。
何より、主人公の二人がちょっと人間的に出来すぎていて、ひねくれ者の私には「そんな奴いねーよ」という思いが終始つきまとっていた。
が、そんなことは些事に過ぎないと感じられるくらいに、シンプルなエンターテイメントとしてのパワーがあって、実に爽やかで清々しい、気分のいい良作であった。
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