5.0
ひたすら直球勝負
策士の菱本さんは最初から伊瀬くんと仲良くなりたくて、洗濯物を落としたり部屋を掃除しなかったりわざと隙を見せる。距離が近づくと無理に自分からは迫らず、痺れを切らした伊瀬くんからキスするように仕向けた。やってることはあざといのに、焦らし加減が絶妙で嫌じゃない。もちろん失恋から間もない伊瀬くんを気遣ってるのもあるんでしょうけど…
でも、伊瀬くんが拒絶されるためにしたキスに本気で応えたり、菱本さんもかなり伊瀬くんに御執心で…それなのに臆病な伊瀬くんはこれ以上菱本さんを好きになるのが怖くて逃げ出してしまう。そりゃ悉くろくでもない奴と付き合ってりゃ無理もない…
その後、偶然伊瀬くんが働いているプールバーに菱本さんが同僚とやって来て再会し、そこから菱本さんのグイグイ感が凄い。絶対に逃さない感じがたまらん。
伊瀬くんの後ろ向きな発言をひとつひとつ潰して伊瀬くんの魅力に結びつけて逃げ道をなくし、もう2度とその発言逃げの言い訳に使えなくしてしまうところ、さすが菱本さん。「まだ何かありますか?」「無いです!」にほっこりしました。完全に捕まったなって。この先も臆病な伊瀬くんが顔を出す度に、菱本さんが不安を潰してくれるんだろう。そういう相手に出逢えて幸せだな、伊瀬くん。
万事上手く運ぶのだろうと思ったのも束の間、おネガな伊瀬くん登場。ま、上手く行き過ぎて不安になるのはわかる気がします。その誤解が解けてからのエッチがエロいのなんの。もうどの場面切り取ってもエロ。耳元で囁かれるのたまらんし、焦らしテクもたまらん。くっそー大人って奴は…素敵だ!最高!!
菱本さんの同僚も少し驚いてはいたけど、受け入れてくれてよかった。一生2人きりの世界で生きて行けるわけじゃないから、身近にそういう人がいるだけで本当に救われるんだろうな…伊瀬くんにもプールバーのご夫婦がいてくれるし。
自分本位な恋愛ばかりして相手を利用し傷付けていることにも無頓着な人がたくさんいる中で、同性だろうが異性だろうが誰かを本気で想えることは本当に素晴らしいと心から思います!
読んでいて凄くすごーく幸せな気持ちになれるので、何度でも読み返して楽しんでいます。
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