2.0
軽い、良くも悪くも
無料分のみ。
明るく楽しく読むには申し分ないが、私は頭がカタイ(古い)ので、使用人たちのプライドの「低さ」が気になった。
「使用人」というと虐げられる側と思われがちだが、実際は職人として選ばれた「エリート」という方が近い。まして本編の舞台は貴族の最高位である公爵家、そこに仕える身ならエリート中のエリートとも言っていい。そんな彼ら彼女らが、いかに主人(またはその愛人)に不満があるからと言って、自らの職域にやすやすと他人を踏み込ませるのはプロとしてのプライドなさすぎ。
主人一家が使用人の部屋に入って食事するなんて超嫌がられるし、下手すると「主人の資格なし」と侮蔑されかねない行為だよ。
女主人が自ら手を汚して染め物とか、逆に「そんな布を買う財もないって言いたいのか!」と恥をかかせてしまう。
「そうじゃなくて、こうした方が◯◯でしょ〜」みたいな感じで、使用人のプロ意識やプライドをも納得させる人柄なり能力なり努力なりをヴィオラが見せてくれたら、もっとそこを手間ひまかけて描いていたら、サーシスの心変わりにも説得力が出たはず。
というか、結局ヴィオラがもたらした変化に真っ先に気づいたのはカレンなんだよね。それをわざわざサーシスに指摘する彼女も迂闊というかお人好しというか…
あと、結局ヴィオラが認められたのは、良いアイデアを出せて、それをやってみせるほどの知識なり技術なりがあり、また物の良し悪しを見定める審美眼というかセンスが良かったから。
明るくていつも前向きな笑顔「だけ」では誰も動かせない。
それを身につけるに至ったヴィオラや育てた家族たちの努力をもっと描いてあげないと、ヴィオラの個性や良さ、ついでに毒舌ぶりも、何の理由もない上っ面のものになってしまう。そこを蔑ろにするから「明るくてどういうわけか何でもできる女の子」という型にハマった主人公ばかりの作品しかないのでは?
(有料分で描いていたらごめんなさい)
- 8