3.0
いるわけねえ彼ら
殺_人者として育て上げられた主人公が、死後の世界で、自分を殺した殺_人の師匠みたいな人間と親子関係になり、新たな「人生」を歩み始めるのだが、という話。
この死後の世界、という設定が独特で、簡単に言うと、生前に「こうありたい」と望んでいた人生が叶えられているパラレルワールド、みたいな感じで、かつ、生前の記憶を保持している人間もいる、というもの。
この設定自体は、なかなか面白いと思った。
ただ、どうにも引っかかるのは、「殺_人者として育てられた少年少女」も、「少年少女を殺_人者として育て上げる男」も、とにかく「普通すぎる」ということだ。
そんな人間たちが「普通」のはずはないだろう。
じゃあどんなふうに描けばいいのか、私にはわからない。
なぜなら、そんな奴らいるわけねえからである。
ただ、この「いるわけねえ」人間にリアリティーを感じさせるのが、フィクションの本分というものではなかろうか。
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