血の轍

あらすじ

「惡の華」「ハピネス」「ぼくは麻理のなか」「志乃ちゃんは自分の名前が言えない」など、傑作を次々と世に送り出してきた鬼才・押見修造氏が、ついに辿り着いたテーマ「毒親」!母・静子からたっぷりの愛情を注がれ、平穏な日常を送る中学二年生の長部静一。しかし、ある夏の日、その穏やかな家庭は激変する。母・静子によって。狂瀾の奈落へと!読む者の目を釘付けにせずにはおけない、渾身の最新作!!

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みんなのレビュー

  1. 評価:5.000 5.0

    普遍的に核心をついた貴重な毒親ストーリー

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    夫や夫の親族に原因があるようなレビューがちらほらありますが、その程度で子供突き落とされたら大変ですよ。

    それに自立する道も選ばず、無難な感じの夫を選んだのも、この母親の闇のなせるわざだと思います。

    私はさほど驚くこともなく、むしろどこかで見たことのように思いながら読み進めています。
    エピソードは違っていても、心情の種類は自分も同じだったなと思いながら。

    うちもこの作品ほどではないけど毒親なので。
    驚くことなかれ、毒親ってこういうものです。

    この作品は、デフォルメでも何でもなく、あらゆる毒親が持つ本質みたいなものを描き出している貴重な作品だと思います。

    毒親にも毒親にならざるを得なかった生い立ちなどがあるのでしょう。
    しかし子はそんな親に同情していては共倒れになります。
    人は薄情と言うかもしれませんが、主人公が母親と何とか決別することを願って続きを待ちます。

    補足ですが、私も紙一重かも、と思っている親御さん、ご安心ください。
    そういう自覚のあるかたは毒親にはなりたくてもなれません。
    毒親は本気であなたを愛してると言ったりしますから。正反対の行動を取りつつ。

    • 144
  2. 評価:5.000 5.0

    全話+連載誌で最新話まで読んだ感想

    ネタバレ レビューを表示する

    無料分しか読んでない方のレビューが多すぎて・・・。


    一回読むだけだと、母・静子の異様さに目が行きますが何度も読むと、静子の扱いや静子のSOSが見えてきます。静子と静一の父親との夫婦喧嘩のときにそれが見えますが、確かに「あの事件」の日のピクニックのときも静子は親族の輪に入れず余所者の扱いでぽつんと座ってお弁当を食べていますし、呼んでもいないのに毎週来る義理の姉にも耐えていました。病院に行くのを嫌がる静子に対して、行かないと体裁が悪いことを言い放った静一の父。
    静子が静一に言った

    「やっぱりあの人は私達よりもあっち(親族)が大切なんだわ」

    このセリフが全てだなと思いました。

    夫婦喧嘩のときに、私はひとりぼっちだと言った静子。その訴えに全く耳を貸さず、仕事と飲み会ばかりで子育てに参加しない。喋りがおかしくなっている息子を見ても何とも思わず、姉に静一をちゃんと見てあげろと言われてもピンとこない顔をして、嫁のおかしい行動を目の当たりにしても気が付かない・・・仕事と体裁と親族のことしか考えない男、それが静一の父親。細かいところを見ると、静子がどうして静一に執着するかが分かってきて、その原因を作った元凶はこの男なんだなと分かります。

    そして、1巻は赤ん坊だった静一が3巻では七五三の着物を着て成長しているのも気になります。ひょっとしたら現在の話で14歳の静一は、話が進むと大人になるのかもしれませんね。連載誌の最新に近い話の中にJITTERIN'JINNの歌が出て来るので時代が1990年だと分かります。となると2018年現在42歳。静子に育てられた42歳の静一がどうなったか描かれる気がします。
    とにかくこの漫画は一度だけさらりと読むものではなく、何度も読んで静一と静子、そして吹石の感情を読み取るべきかと。

    ちなみに、幼少期の環境のせいで人格が狂っていく系の話がお好きなら、個人的な名作・六田登の「ICHIGO 二都物語」を激しくお勧めします。こちらも、何度も読むと主人公ではなく弟の妬みや苦悩や、聖母扱いの母の愛情の薄さのようなものが見えてきて話の深さが分かりますよ。

    • 385
  3. 評価:5.000 5.0

    祭りの前の怖さ

    今のところ、だが。
    幽霊も吸血鬼も出てこない。
    狂った、というほど異常な人間も見当たらない。
    何より、まだ、何も起きていない。
    なのに、怖い。
    平坦にすら見える日常が、怖い。
    そこに、どうにも破綻の予感がして仕方がない。
    何かとんでもなく不幸なことが、いずれ起こるに違いない、という予感的な怖さ。
    不穏、という言葉が一番近いのか。
    でも、それでも足りない。
    これは、漫画でしか描けない種類の怖さである気がする。

    この作者は、「漂流ネットカフェ」や「ハピネス」のような、現実の枠を超えたストーリーよりも、日常を舞台にする方が、本領発揮となるのではないかと感じた。

    余談だが、群馬県出身の私にとっては、登場人物たちの群馬弁はすっと入ってくるし、郷愁を誘われるものであった。
    ちょっと得をした気分である。
    だが、その郷愁すら、うすら寒い恐怖を連れてくる。
    何てことだ。

    この怖さは、素晴らしい。
    これからきっと、何かが起こるのだろう。
    そうなったときにも、どうか素晴らしい漫画であってほしい。
    「祭りは準備をしているときが一番楽しい」などというが、それを超える祭りがこの先にあることを願ってやまない。

    by roka
    • 108
  4. 評価:5.000 5.0

    考えさせられる

    ネタバレ レビューを表示する

    どこにでもいそうな、というかむしろ羨ましくなるような美しく優しい母親と息子の話です。虐待するわけでもなく、厳しく押さえつけて育てているわけでもないのに、なぜかずっと不気味な違和感を感じます。
    愛情たっぷりに息子を育てながら、愛情ゆえに?少しずつ壊れていく母親。。なぜこうなったのか、とても気になります。正気を失った母親を、必死に庇おうとする息子の心理にも興味が湧きます。3歳の息子を育てている身としては、考えされられる作品です。

    • 56
  5. 評価:5.000 5.0

    ぞわぞわ

    ネタバレ レビューを表示する

    最後、この母子はどうなるのだろうか…?

    序盤からの違和感が不穏を、不穏が終盤に明確な畏怖を引き連れてやってきた二巻の結末に、とてつもない戦慄を覚えた。

    吹石さん!超逃げてぇぇぇ!

    この毒母やばすぎる。いとこ突き落とすし息子の同級生威嚇するし息子押し倒すし、息子と○○するし。
    こんなだと最後にゃ親子の枠組み超えて行ってはいけない領域までいきそうでもう…気持ち悪い。血のつながりがないならまだしも、異常。異常。不気味。恐怖。異常。
    もう怖い予想しかできません。
    ぞわぞわする。

    と言いながら毎回押見ワールドにどっぷり浸かるんだなぁ。これ一種のマ薬?

    by 匿名希望
    • 49

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