5.0
黒澤、成瀬を足して二で割ったような
終戦後の雰囲気は、戦後生まれの僕には、映画の中でしか触れることができません。しかしながらこの漫画からは、終戦直後の混乱し、荒さみ、でもどこかまだおっとりした古き良き日本の空気が感じ取ることができるのです。もんでんさんの繊細で美しい画力とリアルなキャラクター、時代考証の行き届いた小道具、家屋の数々がそうさせるのでは、と考えます。
ストーリーにおいても、戦後の黒澤映画の傑作「野良犬」のような荒々しさ、名匠成瀬巳喜男が手掛けた映画のせつなさ、やるせなさが、バランスよく同居している奇跡。まったくもって素晴らしいです。
- 0