5.0
拗らせ男の究極形
好きなのに好きな気持ちを素直に表現できない拗らせ男というのはもはや一種の雛形となった感さえあるが、この作品のヒーロー、デミアンは、その究極形とさえ言える。
とにかくこのデミアン、プライド(作品的に言うと品格)が高すぎて、自分から愛を乞う行為が一切できない。ただ素直に愛を囁いて求婚すればそれで全てが丸くおさまるというのに、それができないので、高い地位と有り余る財力にものを言わせて相手を追いつめ、自分を頼らざるを得ない状況に持ち込み手に入れるという手に出る。
好きな気持ちの裏返しなんて言葉では到底容認できないヒロインへの暴言、嫌味、嗜虐的な行為の数々に心が折れそうになる読者は多いだろう。実際「デミアンは実はクロエに首ったけ」というネタバレ情報を知らなければ読み進められない人はかなり多そう。
挙句の果てに、『クロエの好感度を稼ぐために彼女に犯罪の濡れ衣を着せた上で救い出す自作自演』という、誰がどう見てもそれはやっちゃダメだろ……という最低最悪な作戦を決行し、一時的にラブラブになれたはいいものの案の定クロエにバレて捨てられる。
どう考えても100%自業自得だが、そこからのデミアンの狂いっぷり、そこまでしてもクロエを諦めない粘り強さと執着心が、おそらく本作の最大の見どころ。
あれだけのクズ行為を見せつけながらも、最終的にはデミアン、頑張れよ…という気持ちにさせてしまうあたりが、なんだかんだ大した男である。
-
0



その品格に反抗を