5.0
わりと不憫な大公様
大公のクロード、隣国の王子イアンが男装女子カメリア(男性名:カメリオン)を取り合う話。
とはいっても、タイトルとプロローグを見れば結ばれる相手がクロードである事は最初から明らか。それなのに、レビューを見るとイアン推しが多い。
なぜなのかといえば、前半のクロードはツンデレをこじらせた面倒な男だからである。
クロードは中盤までカメリアが女性である事を知らない。それなのに、彼女に会うと心が揺さ振られておかしくなってしまう事に耐えられず、ついつい彼女にきつい言葉を投げかけてしまう。一方のイアンは最初からカメリアに甘く接するので、読者としても「イアンでよくね?」となるのは必然と言える。
しかしクロードが本領を発揮するのは、カメリアに対する気持ちを自覚した後。
一度彼女(クロードからすれば彼)を好きだと認めた後は、性別なんて関係ない、とばかりに積極的なアプローチを始める。一方のイアンは、知り合う前からカメリアの性別を知っている。つまり、クロードが超えた性別という大きな壁が、イアンには最初から存在していないのだ。
そしてカメリアが女性だと知った後のクロードの怒濤の追い上げはすさまじい。くっつき、抱き締め、骨まで蕩かす勢いで甘やかす。このあたりからクロード推しになった人はかなり多いと思われる。
カメリア(性別がバレてないと思ってる)の「男が好きなのか?」という問いに対するクロードの答えは「君が好きだ」。
実際クロードはカメリアが男だと思っていた時から添い遂げる気満々な勢いで迫っていたのだから、この言葉の説得力は抜群である。
要するに、最初だけを見て印象を決めてしまうのは早計。
内から外から、様々な妨害に遭いながらもカメリアが大公様を我慢させるまでの道程をご堪能ください。
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我慢してください、大公様