5.0
是非読んでみて下さい
今、あらためて2回目を読んでいます。
壮大なファンタジーに魅了され、引き込まれるばかりです。
幼き頃から父親による激烈な虐待を受け続けた為、自己肯定感が低く吃音のマクシー。
私は先ず彼女に、「よくぞ生きる事を辞めないでいてくれた!」と褒めてあげたい。
誰一人として味方がいない中、頑張ったなんてそんな簡単な言葉ではすまされなかったはずです。
そしてマクシーを妻に娶ったのは、下級騎士の英雄リフタン。昔マクシーに一目惚れしていたのでしょうか。彼女への言葉はぶっきらぼうで舌打ちが目立ち、でもマクシーへの深い愛情の裏返しによるものだと後に分かります。
領主としてのリフタンは騎士としてだけではなく、責任感も強い。口が悪い部下達もいるが、頼もしいトップとして信頼されている。無骨ながらも、いかに優れた人間かが窺えます。
領主の妻という立場により少しずつ己が成長していくマクシーに、リフタンが不安を抱く様子。まるで子猫を心配する飼い主みたいです。そしてマクシーもリフタンの愛情を感じて心を寄せていく様子は、彼女が幸せに向かって歩み始めたのだと思うと、読者として嬉しい限りです。ただ弱いだけの守りたくなるような女性ではない。だだ強いだけの勇ましい男性ではない。小さな蕾が膨らんでいくのを見守りたくなる若い夫婦の話です。
無料分ではまだ話の主要部分ではないのでしょう。
マクシーの妹ロゼッタが登場していない。
マクシーが魔法を学ぶことを良しとしていないリフタンとのすれ違い。
それにオークの樹。この枯れた樹がどうなるのか。
脇役登場人物達にも個性や魅力があり、魔物との戦い、領主不在中の侵略者達、人々との心情や愛情など、話に絵柄の美しさが加わって虜になります。
とても素敵です。「オークの樹の下」
是非読んでみて下さい。
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オークの樹の下