母に首を絞められたあと、15日たった日の出来事。イネットは塔の中から、弟は乳母に抱かれながら見ている練習場で教官の指導のもと、5本の弓を引くヨハン。1本引くごとに辛い記憶が頭をよぎる。1本目はどこまで私を追い詰めれば気が済むの、この悪魔の寄生虫ごときがと叫ぶ母が護衛二人に部屋を連れ出された記憶。母が去った部屋で床に座ったままのヨハンのシャツのボタンを留める乳母にどうして母上は私を責めているのに、イネットを罰するのか、と問う。すると乳母は丸まるした悪魔の赤ちゃんが双子の姉に手をのばしてみている姿を思い出し、ぞっとして、暴言を吐く。純粋な問いに、今回は、また、何をしでかしたのかと、邪悪な問いで返したシーンを思い浮かべながら放った矢3本目も的に的中。教官のアドバイスがザビエの「肩の力を抜け、風の流れを読め」という言葉に重なる。頭をよぎったのは、母を追いかけ許しを乞いイネットを解放してもらおうとしたとき、乳母が後ろから手をつかんで引き留めた記憶。あれほど公妃様がお怒りになったのは久ぶりだが5日、10日ほど待てはかわいいわが子への怒りは治まるだろう、公妃がどれだけ苦労してあなたを手に入れたか。という言葉と共に放った4本目も的中。5本目、最後の矢は的を敵だと考えて、との教官の言葉に的の前にはヨハンにそっくりのザビエが立つ。金色に変わった狂気の目でイドリスに犬のように吠えろ、躾がなってなくては姉に贈るのは無理だ、という。震えるヨハンに貸して、私も撃ってみると言ったジオビネタが放った矢はど真ん中に命中。弓が憂鬱なのは、クレチマンが野蛮だといったからか、ザビエを思い出すからか。ヨハンは興奮した騎士に方に乗せられ、揺れて気分が悪くなったけど、15日間繰り返される悪夢の記憶に疲れ切ってるヨハン。このまま意識が遠くなるのかな。周りはギュスタブの未来は明るい、ってはやし立てるけれど、6歳のヨハンの闇は深くなっていく。本当にこの後13歳で出征させられちゃうのかな。兄弟は屋外。けれど、兄は常に孤独。私の姉は閉じ込められて15日、この「私の」所有代名詞にイネットへの執着が見え始めたような気がしないでもない。
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魔鬼
067話
魔鬼(67)