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伝えることの大切さ
賠償金を払えない敗戦国に対して、大魔導士を皇太子妃として嫁に出すことを条件に戦争を終えた2国。元敵国に嫁ぎ、精一杯2国間の関係をよくするためにも、そして目の前の人々をたすけるためにも、心身ともに尽くしてきたシェリア。戦争で魔法に苦しめられた国民にとって、魔導士はありがたい存在とは言えず、さらに夫の皇太子ヘリオスからは命令ばかりで、夫婦らしい会話もなく、10年の苦しい結婚生活で唯一優しく接してくれた第2皇子のグリードの口車に乗せられ、魔力をすべて失い、この世を去ってしまう。ところが、寝室で目を開けるとヘリオスの顔がすぐ近くにあり、なんでも医者の話では、結婚一周年式典の疲れが出て、研究室で倒れた事になっていた。2周目人生を送ることになったシェリア。お金を稼いで、賠償金を一人で返金し、実家へ戻ることを決意。離婚を決意してしまうと、寝室にヘリオスが来ない事、結婚1年目でヘリオスが側室を迎えたことなど、今となっては、どうでもよく、本音をどんどんヘリオスにぶつけていきます。実際は、結婚式でシェリアに一目ぼれし、シェリアを天使だとさえ思っていたヘリウス。彼女を遠ざけていたのは、実は彼女を守りたいがためだったのですが、全くそれでは気づいてもらえない事、そして、離婚を切り出されるまで愛想をつかされていることに気づいたヘリウス。最初は、焦りやシェリアが心配になったりすると、命令口調になり、また、シェリアに怒られる、というのを繰り返すのですが、根本的にシェリアが好きだから、こうなるわけで、怒られて、反省して、シェリアに寄り添いながら、気持ちを伝えていく努力をしていきます。だんだんとシェリアもヘリウスの愛情や彼のやさしさに寄り添っていきます。ヘリウスは最初からシェリアに惚れてますし、シェリアも仲の良い夫婦になりたい、と思っていたので、根本的に両想い。しかし、言い方の違いで、ここまで相手を傷つけ、離れてしまうか、もしくは、相手が自分の話を聞いてくれて、自分も相手の話を聞きたい、そういう関係になれば、どんどん寄り添っていけるものなんだな、というのが見えてきます。あと、表紙の絵は、あまりすきではありませんが、作品中のシェリアはとってもかわいいです。
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