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シオアナが望んで夢みたものは?
シオアナとエテイエンの最初の出会いは、まるでキャサリンとヒースクリフのようであったから、ちょっと錯覚してしまった。しかし、物語の展開は別物で、暗く重いものを背負う二人が、幸せを願いながらも、生い立ちの過酷さや周りの悪意により、傷つき、苦しみ、振り回され、それらの濁流に飲み込まれそうになる。二人は地位や名誉や財産が欲しいわけではない。二人はただ、お互いを見つめあい、支えあって,共に生きることだけを欲しているだけなのに、それがままならない。シオアナは、子供の頃のように、野原を駆け回り、ふざけて冗談を言って,共に過ごす時が欲しかっただけなのに。そんなささやかな、他愛のない願いすら叶わないのか? 二人の笑顔が時折悲しい。小さな願いすら叶わないのが切ない。
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奴隷公爵の愛は、優しくて執拗的だった