5.0
弱者の心の叫び
登場人物のそれぞれが彼らの弱さの中に何らかの痛みを持っている。その痛みを隠しながら日常生活を送り、本音とは違う我慢をしながら生きている様子が現実的に描かれている。心の声が本音ならば、それに従えばと思うのは常だが、現実はそれを許さない。彼らはその弱さの中で必死にもがいているが、積極的な解決方法を見出していない。ほとんどの場合は我慢で乗り越え、気にしないことでやり過ごし日々を送っている。父の失踪、吃音、恋人への不信は彼らに重くのしかかり、心の叫びは増大する。現実社会の中での生きづらさが丁寧に描かれている。
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僕らの喉にはフタがある