午後3時の通りすがりさんの投稿一覧

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11 - 20件目/全47件
  1. 評価:5.000 5.0

    ギリ、やりすぎてない

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    個人的な高評価ポイントが、何事もやり過ぎていないところといいますか

    ・主人公がチート能力ではない
    魔術師自体が珍しい世界のようだが、目が見えないというハンディを自動で打ち消してくれるほどではなく、魔力量が特別多い・数多くの使える魔法が使えるわけでもない
    わりと一般的な等級で基礎魔法しか使えないが、クノン本人の努力・やり込みによって自力で手にした応用力を武器にしている

    ・主人公の環境が悪くない
    途中から周囲の協力も得られて良い環境になるが、最初の印象としてはあまり良い環境とは思えなかった
    だからと言ってありがちな虐げられる・放置される系の環境だったわけでなく、家族もそれなりにクノンのことを考えていて
    周りの人を何も変えることなく、クノンの気持ち1つで見え方が変わったのがいい

    ・キャラの個性が、ギリ不快にならない
    そもそもクノン自身が「間違った紳士像」を元に行動していて全女性に対して軽いのだが、そこが不快になるならないのギリギリを攻めているなと
    魔術師ってのも研究者的な人種が多く、生活・人格破綻者もまたそれなりに多いが、そこも「ちょっと嫌・ちょっと迷惑」程度で抑えられている

    クノン自身の目が見えないというマイナス、キャラクターのちょっとマイナスな個性を、別のプラスで補うのではなくマイナスそのものをプラスに変換するのが上手いなと

    逆にクノンの国では欠けていることは「英雄の傷跡」と呼ばれて名誉なことだが、他国では「魔王の呪い」と忌み嫌われる現象であったり
    視点を変えることで反転させてしまうのも上手い

    • 27
  2. 評価:5.000 5.0

    作り込まれたRPGレベル

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    裏切られて死んだヤクザの龍が、同じように裏切られて死にかけていた異世界のお姫様リューの体に入ってしまい、世直し?革命?いやもう世界を変えるくらいの活躍をする話

    世界を統べるのは6人の王
    六王はそれぞれの国で「魔王の体の一部」を管理しているが、それぞれ問題も抱えていて魔の者にしてみれば突きやすい隙でしかなく
    そのせいで各国が荒れたり歪んだりしている世界

    龍が入ってしまったリュー姫は六王の一角、剣王の娘で
    跡目争いで兄に裏切られて死にかけて(というか死んだ?)、国を追われて逃走していた
    最初、リュー姫は頭の中がお花畑で無能…みたいな描かれ方をしてたけど、しっかりと自分を持っていて剣王としての素質も兄より優れているかもという掘り下げもされる

    龍とリューの状態も徐々に明かされていくし、世界がプラス方向にもマイナス方向にも目まぐるしく変わっていく

    そもそもが世界が荒れているのと、ヤクザが活躍する土壌ができてるってことで
    薬物問題や風俗問題、賭け事やらシノギやらの話が出てくるので、軽ーい話ではないけど

    よくある「この設定いらんくね?」みたいな部分は皆無なくらいに作り込まれたストーリーや世界観
    上辺だけのヤクザやら任侠のイメージで薄っぺらいことを言ったりしない主人公
    主人公が十分な力を持ちつつ、チートにはならない脚本

    絵が描き込まれてるので、逆にちょっと見づらいところがあるのと
    本当に(たぶん)ディープなヤクザの専門用語が多くて分からない部分があるのと
    少しとっつきにくいかんじはするけど、おもしろいよ

    • 1
  3. 評価:5.000 5.0

    醜い家族よ

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    私生児ゆえに「戦場の方が良い環境」というレベルの扱いを家で受けているフィーネ

    治癒魔法を使えるので家にいるよりマシと戦場で軍医として働くけど、それも最初は変なチョビ髭の父親に命令されてのこと

    フィーネよりも治癒魔法が強いとかで聖女と呼ばれる妹は1話からヤラカシてくれてます

    戦場に「来てやった」とばかりに現れ、怪我人を見て「こんなの治療できないわ」と何もせずに帰ってゆく
    普段は「戦場なんか」には来ない令嬢だから酷い怪我なんて見たことないんだな、内臓デローンとか、骨が飛び出てるとか、一体どんな状態なのかと思っていたら…そうでもないじゃんと
    (のちに、妹が逃げ出した理由は判明する)

    妹が見捨て、フィーネが助けた人こそレオン様
    ちゃんとフィーネを指名して結婚を申し込んだのに…

    クズなチョビ髭オヤジが「危険な国境沿いの領地だから妹の代わりに行くのだ」とかほざくからフィーネはずっと妹の代わりだと誤解して

    さらにはレオン様がウルトラシャイボーイなせいで「愛のない利益のための契約結婚」となってしまって…なんでやねん!と

    妹もチョビ髭オヤジも、まぁ性格の悪さがよく出てる酷い表情だし、ずっとヤラカシ続けてるし
    そんな輩がフィーネのことを醜女醜女と呼んでるのが逆に滑稽だわと

    • 0
  4. 評価:5.000 5.0

    ボケツッコミのギャグにあらず

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    アビゲイルかわいい、旦那様かっこいい&いい人
    2人の周りの人たちもいい人(アビゲイルの実家と領地の連中を除く)

    アビゲイルと旦那様のやり取りがもうツボに入るし癒される
    ボケとツッコミではなく、「大真面目な勘違い」と「淡々とした指摘と訂正」なところが面白すぎる
    最初は旦那様もいちいち取り乱してたのが、段々と慣れてきて冷静な訂正と流れるような餌付けがお見事です
    それでも予想を超えるアビゲイルの行動や知識には「すごいなっ!!」と言わずにはいられない

    アビゲイルは前世が魔王…というか領地の人間が勝手に魔王と呼んでいた強い個体の魔物で
    人間として生まれてからも多くの魔物と同じ「金色の瞳」を持っていたために人間扱いされず
    「魔王の記憶のせいで人間という意識が薄い」
    「自分より弱い人間を嫌ったり憎んだりしない」
    という特性が痛々しく見えそうだけど
    そこを上回って愛でられてるので嫌な気分にならずに読める

    アビゲイルは常識はともかく知識量も豊富で頭の回転も早くて、よくある天然と見せかけてただのバカだったり無自覚あざとい系でもないし

    旦那様は、よくある過去のせいで拗らせてる風のただのクズ男と違って早々に「愛さない」と言ったことを反省して謝罪するし

    やっぱりメインはみんな愛せるキャラがいいよね

    • 1
  5. 評価:5.000 5.0

    夢見る王子と現実主義な妃

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    魔法使いと駆け落ちしたシンデレラの代わりに、やけっぱちになった王子から結婚を命じられた義姉アデリーナ

    この王子ってヤツが「いつか運命の姫に出会える!!」という夢を諦められない拗らせ大人で、しかも女性への幻想が酷いときた笑

    舞踏会で会ったシンデレラが運命の姫!見つけたら即結婚式!と無計画な王子の計画のせいで、即ドレスに着替えさせられるアデリーナ
    妹の方が小柄だからサイズが…と思ってたらコレ妹でもキツイって!というレベルで
    あー、この王子、「60キロ以上とか、ウエスト60センチ以上の女ってデブだろ?」とか言っちゃうタイプの男かぁ…と短い描写でよく分かる

    名前を間違えて呼んでも謝りもせずに「貴様の名前なんてどうでもいい」と言ってしまうのは、恋愛ごとだけポンコツというには無理があるが

    その後もことごとく名前を間違えては周りをスン。とさせる
    アデリーナのことが気になろうが、本気で好きになろうが正しい名前は呼べない
    さすがに読んでておかしいと思うけど、なんせ「貴様の名前なんてどうでもいい」だからなぁ…と

    アデリーナはいつか離縁した際の慰謝料とスローライフで頭いっぱいで、料理やら農業やらイベントごとペットの相手で忙しいし

    話が進むと、あーそいえば魔法使いがいる世界だっけ?となるので、ドタバタコメディで目を逸らすのが上手いなと

    • 1
  6. 評価:5.000 5.0

    難しいし、気分悪いのに…

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    正直、読んでいて気分の良い話ではないけど、最後には救いのある人もいる

    老若男女クソやろーが多いし、話の大半が理不尽だし…なのに気になって気になって読むのを止められない
    これは逆に、本当にストーリーが面白い名作だと判断するしかないなと

    転生というより、「死んでもいないのに無理やり物語の世界に引っ張り込まれて憑依した」というのが正しい認識
    憑依したエリスという少女は「消えてしまいたい」と願うほどの環境にいて、周りの人間が本当にイラつくしその人数も多い

    ・婚約者の尊厳踏みにじり皇太子アレクト
    ・バカか腹黒かその両方か空気クラッシャーヒロインのヘレナ
    ・ヘレナラブなストーカー騎士イアソン
    ・異母妹を見捨てる予定の神官フィブリス
    この辺が主要なエリスの敵だけど、進むにつれて増える
    キャラごとの深掘りまでされるけど、エリスへの行動には納得いかない

    こんなにムカつくのに読んでいられたのは、前半がわりと淡々と進むからかな
    人によって淡々具合がつまらなく感じるだろうし、サラッと読んだら設定忘れてた部分もあって迷子になりがちだけど

    その分、後半の激情?狂気?
    登場人物の認識が色々と変わってくるあたりから前半のイライラが可愛く思えるほど
    気持ち悪かったり憤りだったり恐怖だったり悲しみだったり…もう感情が追いつかない

    そんな中に時々出てくる、エリスが拾って名前を与えた護衛騎士アナキンとエリスの、ただお互いを思い合うストーリーが本当に貴重な癒しで

    終わってみればシンプルな、
    自分が苦しくても愛する人のために行動した人間は最後に救われて
    愛する人を自分の感情で縛り付けて苦しめた人間は何かを失った
    …それだけの話なんだけど

    紙の上の登場人物ではなく確かに生きて感情もある人間なのに、物語の根幹になるであろう行動だけは縛られていて
    罪と罰が釣り合ってない人も、縛られた行動の結果で喪失した人もいて
    スッキリザマァ!みたいな話ではないけど最後まで読むに値すると思う

    • 6
  7. 評価:5.000 5.0

    超美麗ハイテンションギャグ漫画

    なんかもう、絵が綺麗なだけでハチャメチャにギャグ漫画だわww

    テンションと勢いで押し切られつつ、ワードセンスもベタに思えて絶妙に軽快で癖になりそうだけど
    ここからトキメキ展開になるのか?はちょっと疑問w

    灰かぶり要素はガラスの靴一点で、別に不幸な生い立ちのヒロインで…なんてことはなく
    (あ、ヒロイン動物に囲まれてたからその辺はシンデレラぽい?デ◯ズニー映画だけのイメージか?)
    どちらかと言えば金の斧・銀の斧な世界

    • 0
  8. 評価:5.000 5.0

    元カノも良くない

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    海老カツこと勝男は、周りにいたらイラッとするだろうなって思う笑

    価値観は育った環境とか本人だけの問題じゃないし、極端でなければ良いも悪いもない
    だから勝男の価値観も別に悪いわけではないけど、いちいち人の価値観を否定するような余計な事をわざわざ言う
    それ自分のことで言われたら嫌じゃない?ってことを本気でアドバイスだと信じて言っちゃう

    ただ勝男の元カノも、勝男が好きだからと自分も和食ばかり
    「男にモテる」に全振りして努力したのはむしろ偉いけど、自分の好きなものは?となると思いつかないほど
    余計なこと言われても受け流すだけ、自分も仕事で疲れてるのに食事を用意することに文句ひとつ言わない
    勝男が育った価値観に合わせたというと聞こえがいいけど、甘やかして増長させただけというか?

    「妻/彼女が突然怒り出した」という男性に
    「怒る前に普段から注意してる、聞いてないだけ」という女性みたいな、よく聞くかんじではなく本当に何も言ってない
    言うべきこと言わずに分かってもらえるわけがないよね

    そして勝男は、言われれば一旦自分の中で噛み砕いて良い悪いを判断できる人

    人の数だけ価値観があって、自分の価値観が当たり前ではないと
    主人公だけでなく周りの人間も気づいて受け入れようとするのがいい

    • 0
  9. 評価:5.000 5.0

    意外としっかりしたストーリー

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    とりあえず24話まで読み終わった

    序盤は世界と主人公セリアの状況説明ばかりで、少しダルい
    セリアは6歳だし、竜と出会う以外の山場もなく、理不尽にハブられてて気分よくない
    セリアが15歳になって戦争が発生したことで状況が一変、物語が進んで面白くなる

    「16歳で領主の愛人になる予定の、容姿だけが取り柄な農民の子供」だったセリアが、弓を使えるからと戦争に駆り出されることで皮肉にも行動範囲が広がった

    奮闘するも、いきなりセリアの力で戦勝!なんてことにはならず
    弓を教えてくれた恩人も、自分を愛人にしようとした領主も、セリアの腕に注目した領主の息子も戦死してしまうし
    セリア自身も敗残兵として家族とも離れてしまう

    幼いときに別れた友達の竜がセリアのピンチを察知して駆けつけてくれたので敵国に占領まではされなかったけど
    その竜が国の守護竜である種だったために皇族がやってきてセリアを見つけてしまう

    金髪碧眼は「竜血」を持つ人間の証で、竜血によって守護竜と契約できる
    (そもそもが竜が起こした国で、国民は竜の子孫で竜血の濃い薄いがある的な)

    皇族は竜血を独占するために、皇族以外で金髪碧眼の子供が産まれたら処分しなければいけない法律まで作っていて
    領主が色ボケだったために生き延びていたセリアは既に守護竜と契約済み

    セリアを処分すれば守護竜を諦めることになる皇帝は、セリアは皇族の血筋だったということにして皇女とすることを決める
    皇族は竜血を維持するためにたった2つの家で婚姻を繰り返していて、血が濃くなりすぎて異常が現れ始めたせいで外の血縁が欲しいのも理由だと

    戦争系、騎士系、成り上がり系の要素もあって、戦略とか政治的な話も意外と深くて面白い

    ナイスミドルなおじさまがけっこう出てくるんだけど、もう少しカッコよいと嬉しい笑
    若い人はいいんだけど、どうもお髭のおじさまとイマイチ絵柄が合わないというか

    • 0
  10. 評価:5.000 5.0

    ラストまで読んでの感想

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    ラスト、哲雄は捕まり裁判にかかる
    もちろん大事件・大ニュースとなり世間で賛否が巻き起こる
    私刑は許されない、家族を守るためなら自分もやるかも…とインタビューが流れ、この漫画の読者の感想のように意見は真っ二つ
    裁判の結果は不明なまま
    量刑も、どの罪が認められての判決なのかも分からない

    間違っていなければ哲雄は4人殺害しているが…最初の方の事件に関してはもはや証拠がないし、傷害致死や保護責任者遺棄致死、なんなら過剰防衛でもいいのでは?という経緯の事件もある

    全ての経緯を読んで把握している読者でも哲雄を裁くのは難しいと思うのに、相手は反社の人間で半数以上は遺体も凶器もない、哲雄と生き残った関係者の話だけでどこまで事実認定するのか

    刑が重ければ自白だけで判断したことになり、
    刑が軽ければテロ行為なども行っているのに甘すぎるとなってしまう
    正直どちらにも納得行かないと思うので判決は不明でもあまり気にならなかった

    ラスト直前の「if」を読んだときに何より思ったのは、
    ・ヤクザ、半グレ、カルト宗教などの反社がいなければ哲雄は平凡な男のままでいられたこと
    ・反社を国家権力が取り締まっていれば一般市民が暴力に暴力で対抗する必要もないこと
    ・警察が信用されていれば、哲雄は最初の事件以降の罪は犯さずに済んだこと

    哲雄の妻、歌仙さんもある人物の殺害を決意する場面があり、それでもいざとなると手を下すことができなかった
    哲雄はそこで手を下せる人間なのは間違いないし、狂った人間たちと対等に戦える哲雄もまた怪物なのだと思うけど
    何事もなければ死ぬまでずっと怪物は眠ったままだった

    本当に、平凡だけどこんなに幸せな世界線があったはずなのにという「if」で、
    とにかく悲しいというか悔しくなった

    • 0

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