5.0
難しいし、気分悪いのに…
正直、読んでいて気分の良い話ではないけど、最後には救いのある人もいる
老若男女クソやろーが多いし、話の大半が理不尽だし…なのに気になって気になって読むのを止められない
これは逆に、本当にストーリーが面白い名作だと判断するしかないなと
転生というより、「死んでもいないのに無理やり物語の世界に引っ張り込まれて憑依した」というのが正しい認識
憑依したエリスという少女は「消えてしまいたい」と願うほどの環境にいて、周りの人間が本当にイラつくしその人数も多い
・婚約者の尊厳踏みにじり皇太子アレクト
・バカか腹黒かその両方か空気クラッシャーヒロインのヘレナ
・ヘレナラブなストーカー騎士イアソン
・異母妹を見捨てる予定の神官フィブリス
この辺が主要なエリスの敵だけど、進むにつれて増える
キャラごとの深掘りまでされるけど、エリスへの行動には納得いかない
こんなにムカつくのに読んでいられたのは、前半がわりと淡々と進むからかな
人によって淡々具合がつまらなく感じるだろうし、サラッと読んだら設定忘れてた部分もあって迷子になりがちだけど
その分、後半の激情?狂気?
登場人物の認識が色々と変わってくるあたりから前半のイライラが可愛く思えるほど
気持ち悪かったり憤りだったり恐怖だったり悲しみだったり…もう感情が追いつかない
そんな中に時々出てくる、エリスが拾って名前を与えた護衛騎士アナキンとエリスの、ただお互いを思い合うストーリーが本当に貴重な癒しで
終わってみればシンプルな、
自分が苦しくても愛する人のために行動した人間は最後に救われて
愛する人を自分の感情で縛り付けて苦しめた人間は何かを失った
…それだけの話なんだけど
紙の上の登場人物ではなく確かに生きて感情もある人間なのに、物語の根幹になるであろう行動だけは縛られていて
罪と罰が釣り合ってない人も、縛られた行動の結果で喪失した人もいて
スッキリザマァ!みたいな話ではないけど最後まで読むに値すると思う
-
5
悪女を殺して