1.0
吸血鬼専用シンデレラ
両親を亡くしてからというもの、叔父家族に家と病院を乗っ取られ、学も無く、召し使いとして虐げられて来た小夜は、吸血鬼の御曹司に見そめられた事で、その生活が一変する。彼等には「血の契り」という、言わば「運命の相手」があり。小夜の血は真紘に必要なのだという。ところが、長命の吸血鬼に添い遂げる人間など居ないこと、吸血鬼一族の純潔を守りたいこと、この2つの懸念と心配で、真紘の母は2人の結婚を許さないという。正に家族からの「疎まれ婚」。まぁ、その前に、虐げられて来た小夜には自己肯定感が低く、それを補う機転も無い。心は優しいのかも知れないが、愚鈍で愚鈍で。真紘の母は叔父家族とは違い、意地悪で言うのでは無い。真紘にも「最低限の矜持を持たせなさい。」と言っている。そう、小夜は最低限の矜持すら自分で持てないのだ。「真紘さんに迷惑をかけてばかりではいられないわ!」と言う決心は、次の瞬間には失っている。真紘の幼馴染に美しく着飾らせて貰っても、シャンと立つ事すらしない。せっかくのシンデレラっぷりを自分で台無しにする。愚鈍で頭の悪い、飾り気の無い私が、何の努力もせずにシンデレラになる、は一昔前の読者からは共感されたんだろう。今の女子達はもっと強い。学ぼうと努力をし、自らを磨く。それはどんな境遇にあったとしても。小夜は従姉妹に嫌われているが、フツーに女子達に嫌われるタイプだ。だがしかし。真紘は旧いタイプの男なんだろう。得てしてこういう男は愚鈍な女が好きだ。良かったね。小夜の幼ない頃の記憶の少年は真紘だろう。幼馴染、吸血鬼、シンデレラストーリー。ロマンチックが詰まっているのに。絵も綺麗なのに。読み進めるのがこれはキツいかと思いました。
-
0
疎まれ婚~冷血御曹司は寵愛をそそぐ~