例えば心霊現象とか超能力とか魔法とか、未来や宇宙での話を漫画で描くとき、そういった異次元のルールやシステムをいかに設定し、いかに読者に納得させるか、という問題が発生する。要は「それらしいウソをどんだけうまくついて読者を引っ張りこめるか」ということだが、作家さんによっては、その設定こそが絶妙なスパイスをストーリーに与えて、読者を物語にグイグイ引き込むことが出来たりする。逆に前提やルールがあまりに荒唐無稽で複雑で説明過多だと、読者は理解するのがめんどくさくなったり、「そんな都合のいいことあるかよ」と冷めたりして、物語から離れていってしまう。
このM&Gの心霊現象のシステムはシンプルでわかりやすくしてある。難しい言葉はひとつも使っていないし、過不足がない。一般的な高校一年生の日本人男子がしそうな発想とボキャブラリーだけで全て説明できている。目の前の現象に、「これはもしかしたらこういうことなんじゃないかな」「こうすると、こうなるんじゃないかな」という彼らの台詞に、いささかの違和感も破綻もないのだ。また、卓越した画力もこの説明にリアリティを与えるのに一役買っている。漫画は言葉だけではなく、絵を使って作者の頭の中にだけあるイメージを伝えられる(伝えなくてはならない)表現媒体なのだと改めて思う。と、こんなくだらない話はどうでもよくて、
おっ初デートは映画かよいいぞ王道だな映画なら見た後で共通の話題で盛り上がれるしなおっあの子の好きなコンポタ味買ってあげたかメッチャ喜んでんじゃんポイント高いぞ「覚えててくれてたんだ」そうなんだよ食べさせてあげたかったんだよそーっと横顔うかがったりしてモンスターいじらしいよな良かったなあの子喜んでるよあーもーなんだよ両思いじゃねえかお前らもう結婚しちゃえよ。とおばさんがハアハアきゅんきゅんしてたら、出ました。名前からして不穏な、刃渡イビツ君。「面白そう」だけでここまで間合いをつめてモンスター相手に斬り込める、相当の手練れですね。幽霊という超常現象も冷静に受け止めて分析、柔らかい物腰できちんと挨拶。社交性高い、けど底無し沼みたいな目でじっとこっちを見てる。こんな高一男子。怖すぎ。
おっ、あの昭和の番長スタイルの髪を、ついに変えますか!(アレはアレで70年代の欧米ロックスターぽくて良い、という有識者からのご意見もありますが)乞うご期待!
-
0
モンスターアンドゴースト
008話
act.2(3)