5.0
ゴーストがついにその姿を現すホラー展開。なかなかその顔を見せないところ、映画のように少しずつ近づいてゾクゾクさせるコマ割り、お見事です。「随分面の良い幽霊」看板に偽りなし!いい。いいわ。この子はいいわ。髪サラッサラじゃねえか。女の子かと思うほど可愛いけど、ちゃんと男の子です。しかし、この作家さんのデッサン力は素晴らしいです。画を学ばれた方なのかな。人体の上手い下手はここだと私がいつも思うポイントは、首の角度です。漫画は圧倒的に「顔」が決めてですし、表情や目鼻を細かく魅力的に描く方は多い。それだけに、身体の形やラインを美しく描く方はごくごくわずかです。「頭と顔」「首」そこからの「肩、胸、胴体」がそれぞれ完全に切り離されて、実際にはこうは見えない、と感じる絵の漫画がほとんどです。(もちろん普段そんなの全く気にならずにその漫画の世界に没頭して読めますが笑)でも、これはダ・ヴィンチの「モナリザ」ですらなんとなーくヘン(胸の角度がビミョーですね)なので、なかなかの難ポイントです。この漫画の作家さんは、人体の絵を描く時の視点を正確に定めて描いてるのでしょう、顔と肉体の線の繋がりが揺るぎないです。華奢な少年の細い首も、いかつい筋肉質の椿君の首も、ちゃんと頭部の重さを支える自然な太さと角度。鎖骨と肩に自然な形で繋がっており、「これはこの位置から見ているから、肩の線がここから始まっているのだな」という安心感があります。少女マンガやBLには、時として「待て待て!あんた20等身くらいあるんじゃねえか?!」という超絶スタイルのイケメンが登場しますが、衣服などでそうなってる場合も多いです。これ、裸体なら筆力がまず追いつかずにヘンな絵になります。この漫画は裸体の上から服を着せているようなリアリティがあり、しかも生々しくない、本当に素晴らしい画力だと思います。
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モンスターアンドゴースト
002話
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