2.0
一読者に過ぎないからこそ思う
作家になるのが難しいのは、ひとつの作品を書き上げることが難しいこと、そして作品を書き続けることこそが難題だということだという話は、わりとよく聞く話なきがする。
この話を読んで、やっぱりそうだよなと、正直思ってしまった。
アメリアの生い立ち、兄、姉の虐待、実母の境遇、死因、読み返すのも拒否するくらいの残酷な描写からはじまった話が、サウーベルカで氷の皇帝と呼ばれているノアムに嫁いでからは、母の復讐を…と言う割には、周りに心を許す速度も早く、ご都合展開でサクサク進んでしまって拍子抜けしてしまった。
アメリアとノアムがお互いを想う気持ちは確かに可愛くて物語の癒やしなのはいいと思うが、復讐の展開は、魔法を恐れられ他国から恐れられている設定とか、父親を暗殺してまで王位につき非道を繰り広げる兄とか、どんどん認識が甘くなっていき、アメリア視点で都合の良い展開が続いてしまう。
ひとつひとつのエピソードとしたら着地点は悪くないと思うけど、ひとつの物語としたら、長年の膿があったのにユアレバンナの国民はずっと不信感しか生まれない国で統治者かコロコロ代わることに対する不満はないの❓とかノアム様の代でこんなにあっさり解決するもの❓とか、読んでるこちらがモヤモヤが残る読後感だった。
-
0
政略婚皇后は復讐の毒に咲く