腹立つなーー。バカだとか愚かだとか、そんな話じゃない。
キーサがダニエルの繰り出す「お題」についていけないのは、それがこの社会での「女の教養」ではないから。
キーサの父親像にはっきりと描かれていたとおり、女性に対して「賢くならなくていい」大前提のもとに、子どもの頃から男と分け隔てのない教育を初めからしなかった結果だよ。それを、「バカ」とは。
「男の教養」「女の教養」がはっきり分かれていた時代に、「男の教養」を身に付けている・理解できる女性がいて、なおかつ「女のわきまえ」を守って接してくれるなら、それは異性として新鮮で魅力的でしょう。それで美人なら言うことなし。今だって、水商売のプロは、客層に合わせたニュースのチェックを欠かさない(そして男を立てることは忘れない)。
でも、その「幅広い教養ある賢い女性」が男と同等に力を持つのはダメなんだよね。あっという間に潰される。
涙をこぼすキーサに興味を抱いて話しかけてきた赤毛君だって、面白がって教養を与えようとしているだけ。
「女はバカ」と言いつつ、相応の知識を身につけた女が同等以上になり始めると途端に、「小賢しい、生意気だ、女のくせに」と言い出すよ。
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あなたが私を手に入れたいのなら
002話
あなたが私を手に入れたいのなら(2)