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日常生活の尊さ
マンガには、作画はきれいだが中身が薄かったり支離滅裂なものがある一方、一見すると作画は魅せられるほどではないが内容が濃くついつい読みたくなるものがある。本作は後者の方ではないか。でも、登場人物の個性がしっかり描かれているし、黒目の点の使い分けで気持ちが伝わるのはすばらしい。何気ない日常生活の中での喜怒哀楽を再確認させてくれるマンガだと思う。
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4336位 ?
マンガには、作画はきれいだが中身が薄かったり支離滅裂なものがある一方、一見すると作画は魅せられるほどではないが内容が濃くついつい読みたくなるものがある。本作は後者の方ではないか。でも、登場人物の個性がしっかり描かれているし、黒目の点の使い分けで気持ちが伝わるのはすばらしい。何気ない日常生活の中での喜怒哀楽を再確認させてくれるマンガだと思う。
手塚治虫賞を受賞した作品として紹介されたのを見て興味を持ち、無料14話まで読んだ。「ルッキズム」という言葉は最近知ったが、昔も今も第一印象は見た目で決まる傾向は変わらない。顔の作りが整っていて見た目が良いに越したことはないし、この国ではそれに加えて「若いに越したことがない」が付く。結果、女性は若くてきれいなのがもてはやされ続ける。マンガの世界で一目瞭然。芸能界では男性も演技力や歌唱力より先づはイケメンが注目される。でも、美男・美女が話したり意見を言うのを聞いてイメージとの違いにガッカリすることも少なくない。「君かわいいね、ただそれだけ」と昔歌っていたグループがいたような。見た目でどんなにモテても気の合う人に出会えるとは限らない。きれいでもきれいでなくても皆それぞれ悩みを持って生きている。本作は色々な視点から美醜について深掘りしてくれそうな期待があるが、ポイントが高すぎやしないか。
題名とヒロインの可愛らしさに惹かれて無料分読み始めたら面白い。物語の内容も流れも無理がなく読みやすい。まつ毛が濃くて美人だけど仕事漬けのうえ掃除と片づけ下手で帰りたくない汚部屋。ワーク・ライフ・バランスが崩れまくりの中奮闘するヒロインがうまく描かれていて、クスッと笑えて応援したくなる。同僚の男性と最初は水と油のように反発し合うけど最後はきっと溶け合うんでしょう。
作画はさほどうまいとは言えないが、人物の区別はちゃんと描かれていて見やすい。震災も多いこの国では親を亡くした孤児が祖父母に育てられるケースは珍しくない。本作品は、疎遠になっていた娘が事故で他界し残された孫を祖父が引き取り一緒に暮らす話。子どもの描写はほぼ誰が描いても可愛いが、5歳のニタは更に聞き分けがよくでき過ぎているほど。ジジは初めは亡き娘への懺悔の気持ちで孫育てを始めるが、日々の生活の中でニタに気付かされることも多くかけがえのない存在になっていく。ジジが葬儀会社を経営している設定もよく考えられているし、ジジの弟やニタの生みの父親の存在も話にふくらみをもたせている。ジジが亡くなる時、ニタは葬儀会社を継いでいて凛々しい青年になっている。その姿にウルウルきた。ジジは安心して旅立ったと想像できる。もう一度じっくり読みたい。
障害者を主人公にした漫画はいくつか読んだが、他とは一味違う物語。生まれつき聾唖のケンジと交通事故で身体に障害を負ったユウが高3のクラスで隣の席になったことがきっかけで少しづつ距離を縮めていき真の友となる。出会いから心を開くまで時間のかかる経過を丁寧に描いていて感情を揺さぶられる。聾唖の息子を受け入れられない母親のDVがすさまじい。ケンジは外ではいじめを受け頼れる人もなく心を頑なに閉ざしている。友人になったユウとその家族が救いの手を差し伸べてくれたことが現実にはまれだろうが物語の転換点になる。ユウの妹の存在も大きい。音の無い会話と感情のやり取りを表すために空白を多用しているのかと思うが、所々空白が長すぎて逆効果になっている。タイトルの「菜の花」は一般に明るさとか希望を象徴しているため、友情で結ばれた二人に託しての題名かと想像したが、読み終えても解らなかった。あと、聾唖者が普通学級で特別な補助なしで授業についていけるものだろうか?食卓の風景とか校内でサンダルばきなどから設定は韓国だと思うが、わざわざ日本に置き換える必要があるだろうか?韓国名を使った方が違和感なく楽しめると思う。
大分前に無料話を読んで今一ピンとこなかったので離れていたが、最近再開して少しづつ読み進めた。最終話を読み終えた時胸が詰まり涙が湧いてきた。長い間疎遠になっていた兄から結婚報告があり、祝いの言葉を書くときに純の胸に去来する本音が全てを語るからだろうか。この作品は純の苦悩、葛藤、迷いなど心情がきめ細かく丁寧に描かれていき、感情移入まで行かなくても、自分だったらどうするだろうと考えながら読ませる展開だ。他の登場人物たちにも同じことが言える。それだけ現実味に溢れた物語で刺さる人には刺さる。純は本音を飲み込み溜めてしまうタイプで、夫の武頼は頼られると嫌とは言えず一人で背負ってしまう性格。二人とも不器用な性格だ。恋愛は打ち上げ花火のようにすぐ終わってしまうが、結婚は生活だ。結婚生活に停滞期は付きもの、「七年目の浮気」という古い映画まである。夫婦それぞれがよそ見をしてしまうが、夫が歩み寄りを見せた時に純が拒まずに胸に飛び込んでいけば少しはお互いの本音が見えたかも。親が亡くなった時そばで支えてくれる伴侶の存在は大きい。純は母親への想いが強く武頼も相性が合い多分実の親以上に物心両面で世話してくれたことは何にも代え難い。生きていて問題にぶつかった時に自分はどうしたいんだろうとその都度自問しながら決めていくしかない。相手を必要として相手にも必要とされていることが大きな意味での「愛」と言えるのではないだろうか。武頼の顔が終始暗くちょっと苦手なので評価を一つ下げた。
題名と表紙絵に興味が湧かなかったが、弾みで読み始めたら知らなかった事が満載で無料140話まで読み進めた。作画は独特でカラーの色使いがベタ過ぎて好みではない。内容はあらすじにある通り、一組の夫婦の妊活、しかも困難な方の取り組みを、詳細な医学解説を加えながら分かりやすく説いていく。しかも、夫婦を取り巻く社会との関わりも丁寧に描写。ところどころ昭和(?)のギャグとダジャレで笑わせる。今は医療界でも漫画活用が広がっていると聞いたがまさに納得の好例。
題名通りの出だしで始まる物語。それぞれの人生を歩んできて40代になり再会する元恋人同士。同窓会での再会が新たなきっかけになることは現実にもありそうだが、この物語はアパートの隣に元カレが引っ越してくるという、ちょっと無理筋の状況から動き出す。元カノが室蘭に住んでいることを把握して行動を起こすのだから、まあ偶然ですねの範囲か。時々出てくる方言がいい味をだしている。高校時代不完全燃焼に終わった初恋の思い出が今を生きる二人の思惑とシンクロしながら話が進む。場面場面でのドキドキ感などお互いの感情の描写がうまく、共感しやすい。どんな風に再婚まで進むのか否か今後の展開に期待。いろんな横槍や邪魔を入れたりして引き延ばすのだけは止めてほしい。
高校生の物語には興味がないので読まないが、この作品は表紙絵と内容に惹かれ無料19話まで一気に読んだ。まず作画がよい。主人公青木くんはおっちょこちょいで明るい性格、井田くんはスポーツマンでカッコいいけど恋愛に疎くマイペース、橋下さんは正義感が強く誰にでも分け隔てなく接する、相田くんは正直で優しいけど勘違いに突っ走る性癖。それぞれの性格が見事に描き分けられていて、表情の描写もとても豊か。ギャグっぽい場面でも他の漫画と違い、感情を表す独特の描写でわかりやすい。更に、内容は高校生の等身大と思われ、共感しやすい。気になる他者への特別な感情ー相手が異性であれ同性であれーに戸惑い悩みぶつかり合いながら成長していく、まさに青春の一ページ。はるか昔、高校のクラスの問題児だった女子が授業後にポツリとつぶやいた言葉にはっとさせられて今でも憶えているのは、「一人ひとり見ていったら皆それぞれいいところがあるんだよね。」この作品を読んでそのことを思い出した。
作家買いで読み始めた。本作は養護施設で育ちそこからどう独り立ちしていくか、の重い問い。子どもは親を選べない。施設に来るまでに多くの子は悲惨な生い立ちを持つ。現在は18歳で退所の規定が個々の事情を見て緩和されたようだが、まだまだ道は険しいだろう。本作で描かれているように新型コロナのせいで仕事を失い路頭に迷う事態にもなる。現実の社会に根ざした物語の展開にドキリとさせられる。二人の主人公達が周囲の手助けを得て、人生は悪くないと思えるような終わりを願う。題名は女の子の名前もかけていると思われるが、「零れる」は何を意味するのか最後に分かるだろうか。
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ひらやすみ