5.0
悲しい宿命にて
なぜ心を寄せている2人が引き離され、憎み合わなければならないのか読んでいて悲しくなりました。本来ならばオスマン帝国皇帝に捧げるために買われた女。いつしか2人はお互いを求め合う関係に。手と手を取り合って逃げ、最初で最後の関係を持ってしまったところから物語は始まる。結局2人は結ばれることはなく、主人公ヒュッレムは皇帝スレイマンの側室になるまで寵愛を受けた。そして身籠り、男の子を出産したのだが、多分その子はあの夜イブラヒムと結ばれた時の御子。そしてそのことがスレイマンにいつバレるか穏やかではないイブラヒム。時は流れ、誰が跡を継ぐかという話になり、本妻の子か側室の子か、、、決してヒュッレムの子に跡を継がせてはいけないと決心するイブラヒムは、ヒュッレムの後見者でありながら本妻の子を薦めるのであった。それを知ったヒュッレムは、イブラヒムとの決別を決心し、葬ることにした。だが、同じ事を考えていたイブラヒムに先を越され、首を絞められるが寸前で助かった。その後、今度はヒュッレムが仕掛けに行くと血まみれのイブラヒムが横たわっていた。これを読んだ時、やはりまだイブラヒムはヒュッレムのことを愛していたのではないかと思ってしまった。だからトドメをさせなかったと思う。その事で、自らの命を持って2人の関係を終わらそう、あの日のたった一夜の過ちを精算しようと思ったのではないかと思います。皇帝スレイマンはヒュッレムの子が自分の血を引いていないイブラヒムの子だと気づいている様子。だから何度も血統は関係ない。器量が大事と言っていたのかなと思ってしまいます。そう思うと我が子を次期皇帝にと躍起になっているヒュッレムに対し、ヒュッレムの子はスレイマンの血を引いていないからと次期皇帝を阻止するイブラハム。母親は子供のためなら何でもできるのだなと、それと、女々しいのは男だなと思った。ヒュッレムはイブラハムと決別をした時から愛も捨ててしまった。ヒュッレムにとっての愛とは黄金の鳥籠。イブラヒムがヒュッレムに送ったプレゼント。悲しい定めとはいえ命の奪い合いにまで発展してしまったこの2人。この先が気になります。
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夢の雫、黄金の鳥籠