色々分かった後に読み返すと一度目には気付かなかった伏線に気付けて面白い。バスティアンが強気になっていたのアルマンが暗躍していたからだったんだね。パメラとバスティアン、それから他の5公爵にセリーン。出番無い時も裏側で色々と行動を起こしていたのが分かる。アルマン、頭も良いし察しも良いのにルウェリンの心情に関してはポンコツになるの良いよね(良くない)
どうして怒ってるんだ?じゃねーよ!単純にアルマンを嫌っていて怒ってるだけなら分かりやすいんだろうけど、ルウェリンの心情はもっと複雑。それが落下の時の心情からも伝わってくる。彼女が感じていたのは怒りじゃなくて戸惑いなんじゃないかな。溢れそうな本音と、それを否定したい気持ちで揺れる心。
初めて結ばれた時の記憶を思い出して、ルウェリンはアルマンが自分を愛している事に薄々気付いていたと思う。けれどそれを否定して、この男の思惑は自分と結婚してヴィセルク公爵家を再興する事だと思い込もうとした。(実際にはそんな気持ちはアルマンにはないから、言われる度に「?」ってなってる)そう思おうとしたルウェリンの複雑な気持ちは、この話までにもこの話の後にも溢れてきている。………ルウェリンが、初めての時の記憶を思い出す前に考えていた事。どうして今更?ずっと忘れる努力をして来たのに。アルマンが帰ってきてくれる期待をしながら、忘れる努力をして来たのに。今回落下しかけた時にも、ルウェリンは似た事を考えている。私を捨てたくせに、私を置いて行ったくせに、どうして今更、と。
アルマンが自分を愛していると認める事も、自分が今もアルマンを大事に思っている事も、ルウェリンは認めたくないんだろうと思う。それを認めてしまうと、アルマンが5年間姿を消したことや、そんな彼を必死に忘れようとして来た事に耐えられなくなるから。だから、アルマンの目的は公爵家の再興で、自分はそんなアルマンの思うようにはならない……と自分の心情を整理した。けれど、あの落下の瞬間のアルマンの絶望や魔獣を捕らえる為に怪我をした姿に、上手く気持ちの制御が出来なくなったんじゃないかな。
それで傷付いたアルマンを見たくないってルウェリンが泣いてるのに、うっかり心配してくれるのか?とか言っちゃうから、またルウェリンは意地を張るんだよ。言葉選びとかポンコツ過ぎるよアルマンダイト……
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捨てられた王女の秘密の寝室【タテヨミ】
058話
どうして今さら?